日々の絵本と読みもの

タータンチェックから広がる世界 『すてきなタータンチェック』



マフラー、スカート、靴下、傘、文房具……私たちの暮らしに身近なタータンチェック。英国生まれのこの柄はどうして世界中で愛されるようになったのでしょう?

著者の奥田実紀さんは、チェックが大好きな少女だったそうです。数あるチェックのなかでも心ひかれたのが、この本のテーマになるタータンチェックでした。そんな奥田さんがすっかり大人になった頃、留学先のカナダのプリンスエドワード島で、現地のオリジナル公式タータン「プリンスエドワード島タータン」に出会います。タータンチェックはイギリスを代表するチェックのはず。どうして遠く離れたカナダでつくられているのか、ふしぎに思います。そこから、奥田さんのタータンチェックを追う旅が始まります。

そもそも、イギリスは、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドという4つの独立した国が1つの国家としてまとまっていますが、そのなかのひとつ、スコットランドがタータンチェック発祥の地であること、それぞれの国同士の戦いのなかでタータンチェックの歴史がつくられてきたことが分かりました。イギリス国内、さらには世界で人気の柄となるまでのタータンの歴史、タータンが織物であることや、タータンの定義などなど、タータンチェックづくしの絵本です。

絵は、長年ファッションイラストレーションの世界でご活躍の御年90歳(!)、穂積和夫さんが担当されました。タータンチェックは精密さとセンスが要求される大変難しい画題だったそうです。その出来映えにも注目です。

本作の中にも登場しますが、穂積和夫さんは、読者の子どもたちをイメージして「たくさんのふしぎオリジナルタータン」をデザイン・制作されました。なんと、そのタータンは、スコットランドのThe Scottish Register of Tartans(タータン登記所)に登録され、正式に12257号タータンと認められています。(2018年に登録)登録名は「Takusan no Fushigi」。どんな色と柄のタータンチェックになったのか、ぜひご覧になってみてください。

担当A ピンクがベース、若草色の線が入ったタータンチェックのポーチがお気に入りで、15年くらい使っていました。

2021.09.17

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