特別コメント

山極寿一さん推薦コメント 『ゴリラ』(こどものとも2021年11月号)

「こどものとも」2021年11月号は『ゴリラ』(小風さち 文/阿部知暁 絵)。「わたしはゴリラ。きみはにんげんだね?」ゴリラが静かに語り始める。ゴリラと人間は、似ているのか、似ていないのか、目、鼻、手、足と身体の一部を比べたり、ゴリラの個性に触れたり、家族に思いを馳せたりしながら、ゴリラの世界を知っていく絵本です。

元京都大学総長で、霊長類学者・人類学者の山極寿一さんが絵本を読んで推薦のコメントを寄せてくださいました。

山極寿一さん推薦コメント
不思議な絵本だと思う。ふつう、動物の絵本は読者の視点でわかりやすく解説してくれる。しかし、この絵本はゴリラが語りかけてくる。ゴリラが自分たちを紹介しながら、私たち人間にゴリラとの違いを気づかせてくれる。それは、阿部知暁さんの絵がゴリラの内なる心を照らし出してくれるからだ。阿部さんは世界中の動物園を回って、ゴリラを見つめつくし、ついに心を描くことができるようになった。そして、その心は動物園生まれのゴリラが知らない野生の世界へと広がっていく。動物園は野生の窓だ。ゴリラと人間の違いは生まれ故郷の暮らし方にある。この絵本の会話を通じて、ゴリラと心を合わせながら、ゴリラの野生の世界に思いをはせてほしいと思う。

2021.10.22

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