日々の絵本と読みもの

おばあちゃんといっしょに干し柿づくり 『しぶがき ほしがき あまいかき』

しぶがき ほしがき あまいかき

あまーい あまーい かきになれ
しぶがき しぶがき あまくなれ

柿が真っ赤に色づく季節になりました。柿が大好物だった正岡子規は、あの有名な「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」という句を残していますが、柿は、色といい、味といい、ちょっと特別な果実ですね。
昔は人家の軒先には柿が植わっていました。そして、食いしん坊の子は、折れやすい柿の木にささっとのぼって、かぶりつくということもよくありましたが、たまに間違えてしぶ柿を口にするということも……。

この作品では、そんなしぶ柿を口にしてしまった女の子ちえちゃんが、おばあちゃんに助けてもらいながら干し柿づくりに挑戦する姿が描かれています。
お父さんといっしょに柿とりに使う長い竹をとりにいき、その竹で高い木の柿をとったり、小刀を使って柿の皮をむいたり、自分のハンガーに柿を結びつけて軒先につるしてみたり……。


ところが、太陽の下でどんどんあまくなっていくちえちゃんの干し柿をねらって、ある夜、「ガサッ、ゴソッ」と、なぞの干し柿どろぼうがあらわれます。勇気をふりしぼって布団の中で干し柿どろぼうを待ち構えるちえちゃんでしたが……。

実はこの物語は、作者石川えりこさんの小さいころの思い出がもとになっています。作品には、『とても楽しかった干し柿づくりを、ぜひ今の子どもたちにも味わってほしい』という願いがこめられています。

太陽の光をいっぱい浴びるとおいしくなる食べ物はしぶ柿だけではありません。大根、しいたけ、お魚、おいも……。きっと、太陽の光には特別な力があるのでしょうね。
ぜひみなさんも、この本を読んで、秋の青空の下、干し柿作りに挑戦してみてはいかがですか?

担当S 太陽の光ってすごい!

2021.10.26

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