日々の絵本と読みもの

手作りって楽しい! 喜ばれるってうれしい!『はりねずみのノート屋さん』

『はりねずみのノート屋さん』
みなさんは、手づくりのプレゼントをもらったことがありますか? 
どのようなものでも、贈り手のあたたかい気持ちが伝わってきて、うれしくなるものです。
童話『はりねずみのノート屋さん』は、そんな心の交流があたたかく描かれた、自然豊かなブランケット村に暮らす動物たちのお話です。

主人公のはりねずみのツンタは、いつも失敗ばかりで気の弱い恥ずかしがり屋さん。そんなツンタは、ある日、遠い村のひいじいさんの屋敷でひとり留守番をすることになります。ツンタはほこりだらけ、ものだらけの家にとまどいますが、うす暗い部屋の窓をあけてみると、となりにバラに囲まれた青い家が……。
そこに住んでいたのは、あわてんぼううさぎのトトンでした。

トトン トン! トトン トン!
あわてんぼううさぎのトトンはすぐに家にやってきます。そして、友だちのあかしとばかりに、自慢のバラをじゃんじゃんきって花たばにして、ツンタにわたします。ツンタはすてきなバラを花びんに生けながら考えました。
「ぼくもトトンになにかプレゼントしたいけど、なにも、もってないなあ……」
ツンタはいいことを思いつきます。それは、「ノートづくり」でした。


この作品では、ひとりぼっちのツンタが、ノートづくりを通してたくさんの友だちとつながっていく様子を、あたたかい視線で描いています。ものを作る楽しみと、それを喜んでもらえる幸せが味わえる、ほのぼのとしたストーリーです。色あざやかでかわいらしい、たっぷりの挿絵とともにお楽しみください。

作中ではたくさんのノートが登場します。青バラ屋さんのうさぎのトトンにつくった四角い「アイデアノート」。コーヒー屋さんのうなぎのヌールにつくった縦長の「詩作用ノート」。市場のオウムのポリーさんにつくった丸い「商売のコツノート」。芸術家の大グモのオオナッパスキーにつくった「お絵描きノート」など。どのノートにも友だちへの思いが織り込まれていて、ツンタの優しさがじんわりと伝わってきます。
巻末には、「簡単なミニノートのつくりかた」が紹介されています。ぜひ読者のみなさんもノートづくりにチャレンジしてみてください。

担当S 私もこっそりだれかにプレゼントしたくなりましたー!

2022.05.20

  • Twitter
  • Facebook
  • Line

関連記事