日々の絵本と読みもの

「子どもたちを、一生懸命かわいがってください」ー育児をすることの幸せ

子どもたちを、一生懸命かわいがってください

はじまりは愛着から―人を信じ、自分を信じる子どもに―

口コミやSNS、テレビや本など、いろいろなメディアに、さまざまな子育て情報があふれています。親は子どもの将来が幸せになるように……という思いで、それらの情報を頼りにしますが、あまりに情報が多くて、自分の子育てに迷ったり自信を失ったりしている方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいのが、親が子どもを一生懸命かわいがることこそが大切、とシンプルに説く育児書『はじまりは愛着から』です。

著者・佐々木正美さんは、児童精神科医として半世紀以上も臨床に携わり、子どもたちの健やかな心の成長を見守り続けてきました。数多くの臨床経験に基づく乳幼児の育児のあり方を「子どもへのまなざし」シリーズなどの育児書や講演会などで、親たちに説き続けました。『はじまりは愛着から』にも、常に子どもの立場に立つ佐々木さんが語る子育ての本質が、全33章、あらゆる切り口から語られます。

「“いい子”に育てないすすめ」の章では、幼い時からわが子を理想的な「いい子」に育てようとがんばる親にとって、少々耳の痛いアドバイスが……。他にも「思春期の反抗をどのように受けとめるか」「子どもはなぜ思春期につまずくのか」「子どもがいじめられているとわかったら」……など、親なら誰もが悩む事柄について、あくまでも子どもの立場に立って解説しています。

そしてぜひご一読いただきたいのは、つい子どもをきつく叱ってしまう親たちに向けた「怒り」という章です。「一週間でいいから、一度も子どもを叱らないでみてください」と提案されています。そうすると、子どもが見違えるように爽やかな子になっていることに気づくそうです。怒ってしまったら静かに反省することも大切だと語っています。

ときに厳しく、ときにやさしい佐々木さんのことばに、我が身を振り返ると、反省点が多すぎて「自分はいい親ではないかもしれない……」と不安を覚えるかもしれません。けれども、他人がどう感じ、どう言おうと、母と子が互いにいい母・いい子と実感し合い、たくさんの喜びを共有できれば、それがいい親子だと、佐々木さんは語ります。

忙しい子育ての日々で、読書の時間もままならない方が多いこととは思いますが、1日一章ずつ…くらいの気軽な気持ちで『はじまりは愛着から』を手にとってみてください。子どもに触れ、世話をし、育児をすることの幸せに気づくことのできる一冊です。


 

2017.09.22

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