子どもたちの気持ちを丁寧にすくい上げた物語『しおりのカチューシャ』

『しおりのカチューシャ』
主人公のしおりは、自分の気持ちをはっきり言葉にして友だちに伝えるのがちょっぴり苦手な小学4年生の女の子です。
1年生のとき、困っていたしおりを助けてくれた神田くんにずっと憧れてきましたが、お礼も言えなかったことをずっと後悔していました。4年生で初めて同じクラスになっても、やっぱり声をかけることはできません。
そんなある日、しおりは神田くんのお姉さんでもある憧れの児童会長まゆかさんがつけていたカチューシャをお店で見つけ、色違いのものを買う決心をします。そのカチューシャが、神田くんと話すきっかけになるかもしれないと考えたのです。

大好きな妹と大げんかをするような事件も起きて、カチューシャが欲しいという気持ちも一度は薄れますが、やっぱり自分のお小遣いで買おうと心に決めます。そして、目標額までのお手伝い計画を立てるのですが……。
カチューシャを買う決心をしたしおりが、友だちや家族との関係の中で、少しずつ変わっていく姿がみずみずしく描かれます。小学校中学年、高学年の子どもたちにおすすめの一冊です。変化していくしおりの姿に、共感するお子さんも多いのではないでしょうか。勇気をもって一歩踏み出せばきっと新しい未来が訪れる、そんな予感に満ちた物語です。
20刷を重ね、今も小学生から支持を得る『ハッピーノート』の草野たきさんとエヴァーソン朋子さんのコンビによる久しぶりの新作になります。子どもたちのリアルな気持ちを丁寧にすくい上げた物語をどうぞお楽しみください。
担当A・本を読んだ後、勇気をもらえます。
2025.05.16


