作者のことば

作者のことば こぺんななさん『つんこんぱっ』

「つん こん ぱっ」「おーん ぽくりこ」「すこちょこ のいのい」……ページをめくるたび、ユニークな「言葉」とふしぎな「形」が現れる赤ちゃん絵本『つんこんぱっ』。月刊絵本「こどものとも0.1.2.」2018年7月号として刊行された当時、たくさんの赤ちゃんをとりこにした絵本が、このたび単行本として刊行になりました。子どもの頃から、ある“おかしな癖”があったという、作者のこぺんななさんのエッセイをお届けします。

気分を一新させるかけ声たち

こぺんなな

自分以外誰もいない部屋で、こっそりと、かつ大きな声で、何か言葉として意味のない音を唐突に発したくなる。そんなおかしな癖が私には子どもの頃からありました。たとえば何か新しい行動を始めようとするときに、気分を一新するため空間に向かって、突然結構な音量で即興的に「おっぺーい!」「こいそん!!」などと発する。そう、要は自分が言って気持ち良い音ならなんでもよく、それは強いて言うなら「さてっ」と言いながら立ち上がる、そんな感覚に近いかもしれません。

抽象の絵で赤ちゃんの絵本を、という今回のお話をいただいたとき、真っ先に思いついたのは、この誰にも話したことのない“即興かけ声音”でした。赤ちゃんという、まだ言語が完全に発達しきっていない、音と意味に対して先入観のない時期に、色とりどりの絵とともに感覚的な音を投げかけると一体どんなことが起こるんだろう? そんな好奇心からこの絵本が生まれました。

私は普段絵を描くときにも、具体的なものではなく、色と感覚で作曲するように描きます。意味よりも目に見える色や形を素直に表すことを一番大切にしています。

「おーん ぽくりこ」「すこちょこ のいのい」「わっちょいや」……無限に思いつく音たちの中から厳選に厳選を重ね、そこに絵をつけていくという、私にとって初めての試みは、非常に新鮮でした。その音と、色や形とのマッチングを編集の方と一緒に、「もうちょっと、ここの部分に“ぽくりこ感”が欲しいですよね」などという感覚的なやりとりを繰り返しながら、ひたすらに試行錯誤したことがとても楽しく印象に残っています。

この絵を見、音を聞いた赤ちゃんが、どんなふうに反応してくれるか楽しみです。

(「こどものとも0.1.2.」2018年7月号 折り込みふろくより)

こぺんなな 1984年、デンマーク・コペンハーゲン生まれ、札幌育ち。幼い頃に遊んだ北欧のおもちゃの色合いが今の色彩感覚につながっていると感じ、ペンネームは生まれた街に由来。中学生の時に色に目覚め、学校の授業のノートをカラフルな図解の絵にして、その全てを色鉛筆で取っていた。東京藝術大学先端芸術表現科卒業後、油絵での抽象画の制作を開始。2013年より、個展・グループ展を全国各地で開催。絵本は今作が初めて。その他の作品に、『あぱそこぱーん』(「こどものとも0.1.2.」2020年9月号・福音館書店)、児童書『いたずらっ子がやってきた』(さ・え・ら書房)の挿絵などがある。

2025.05.26

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