日々の絵本と読みもの

弱い気持ちに寄り添い、背中をおしてくれる『ラチとらいおん』

『ラチとらいおん』

ラチは世界でいちばん弱虫の男の子です。犬をみると逃げ出しますし、暗い部屋には入ることができません。おまけに、友だちさえこわいのです。だからみんなは、ラチをばかにして、遊んでくれませんでした。

そんなラチのところに小さなライオンのマスコットがやってきました。でも、ラチは大笑い。「こんな ちっぽけな らいおんじゃ、なんのやくにも たたないじゃないか」らいおんは怒りました。「きみ よくみていたまえ!」ライオンはそう言うと、片手でいすを持ち上げてみせました。それから、ラチに飛びかかると、えい、やっと床に押し倒してしまいました。


そうです、小さなライオンは、とても強いライオンだったのです。
ラチはライオンがそばにいてくれることで少しずつ強くなっていきます。こわい犬がいても、暗い部屋に入らないといけなくても、「こわくなんかないぞ。ぼくには、らいおんが ついているんだから」
ある日、友だちがボールを男の子に取られてしまいました。ラチは夢中でおいかけ、ボールを取り返します。ラチは、ポケットにライオンがいると思って自信を持ってボールを追いかけましたが、ふと気がつくとライオンの姿はありません……。

ラチが家にもどると、ライオンからの素敵な手紙が残されていました。ぜひ絵本を読んで、最後まで楽しんでくださいね。
『ラチとらいおん』は、本国ハンガリーでは1961年に出版されました。1963年ドイツのフランクフルト・ブックフェアで原書を目にした当時の編集長・松居直が「ハンガリー語ですから読めませんけれど、あれは向こうから呼んだんです」と一目で気に入り、1965年に翻訳出版をいたしました。以来、110刷以上の版を重ねるロングセラーになっています。

作者のマレーク・ベロニカさんが手がけた絵本は、『もしゃもしゃちゃん』もおすすめです。

もしゃもしゃちゃんと呼ばれている女の子がいました。この子は、髪の毛はとかさず、歯もみがかないし、お風呂も嫌いでした。ある日のこと、子どもたちで仮装パーティーをやることになりました。もしゃもしゃちゃんがなりたいのは、妖精です! それを聞いて、皆大笑い。「きみが妖精? 髪の毛がもしゃもしゃのくせに!」もしゃもしゃちゃんは、悲しくなって、家を出て、森のなかへと歩いていきました。そこで出会ったハリネズミたちに助けられて、もしゃもしゃちゃんは、きれいな妖精に変身します。ハリネズミ、木、花、鳥など、鮮やかな絵がポップで魅力的な、心温まる絵本です。
 
『ラチとらいおん』『もしゃもしゃちゃん』あわせて楽しんでみませんか。
 
担当A:新しい環境に飛びこむときに、ちょっぴり弱気になってしまっていた6歳のときの長男に『ラチとらいおん』をよく読んでいました。読み終わったあとの満足そうな顔は、勇気をもらっていたんだろうなと思います。
 
 

 

2025.08.25

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