日々の絵本と読みもの

月夜の美しさと生きもののふしぎ『お月さま いつも ありがとう』

熱帯の森、サバンナの草原、夏の浜辺、海の底……月は地球のまわりをめぐりながら、毎日形を変え、地球上のさまざまな場所を照らしています。そして、そこに棲む生きものはそれぞれに、満ち欠けする月のリズムをたよりに暮らしています。


オサガメの赤ちゃんや夜行性のフンコロガシは、月の光をたよりに目的地にたどりつきます。サンゴは満月の夜、いっせいに産卵します。月が細くて空が暗い夜、サバンナのライオンは、獲物にそっとしのびよります。逆に、月が明るい夜は、獲物に近づくのが難しくなります。だから満月になると、トムソンガゼルなど草食動物たちはいつもよりゆっくり草を食べられます――。

ともにアメリカで数多くの科学絵本を執筆し、優れたノンフィクション絵本に与えられる「サイバート賞」を受賞したメリッサ・スチュワートさんと、ジェシカ・ラナンさんの作品を、歌人として活動しながら、子どもの本の執筆・翻訳も手がけるまつむらゆりこさんが翻訳されました。
月あかりの夜の風景が美しい詩情あふれる絵に、語りかけるようなおだやかな日本語で寄り添い、おやすみ前の読み聞かせにもおすすめです。

巻末には、監修者で、生物の体内時計のメカニズムなどを研究している名古屋大学教授の吉村崇さんによる日本語版オリジナル解説も掲載しています。月の光だけでなく、月がもつわずかな引力、潮もみちひきなども月の光とともに生きものに関係があり、人間も睡眠時間や体調に影響があるそうです。神秘的な月の力を感じられる一冊です。

担当A:月の満ち欠けの影響を感じてみたくなって、日々空を見上げて月を見ています。

2025.10.02

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