「わたし」の心の中にいるもう一人の「わたし」。『わたしとわたし』

『わたしとわたし』
私とは何か。
絵本『わたしとわたし』は、自我、そして自己と他者という根源的なテーマを、かろやかに、おもしろく問いかけてくれる作品です。作者は、『きんぎょがにげた』『みんなうんち』をはじめ、数々の絵本を手掛けてこられた、五味太郎さんです。
例えば、絵本はこんな場面からはじまります。

朝、目が覚めて、「さっと起きて着替えよう」と思う私と、このままもう少し寝ていたいと思うもう一人の私。
さらに、こんな場面も。

ゴミ出しを頼まれて、「お手伝いは大切だよ」と思う私と、「ちょっと面倒くさい」と思うもう一人の私。
私の心の中には、違う気持ちをもつもう一人の私がいます。その二人の私の間で行ったり来たりしながら、いろいろなことを思ったり、考えをめぐらしたりします。
さらに、「こうだ」と思っているそばから、「こんな考えもあるんじゃない?」なんて、もう一人の私とは違う、さらにもう一人の私が登場することも。私は一人だけど、心の中には何人も違う私がいるのかもしれません。私とは何か。自分のことでも、完全に捉えることは難しく、不確かなものなのです。
絵本では、私が友だちに誘われて公園に行ったときの心の変化から、相手もまた自分と同じく、さまざまな気持ち、考えを抱いているのではないか、ということに気がつきます。他者との関わりの中で、自分が変わる。自分を知ることで、他者がみえてくる。たいせつな気づきが描かれます。
担当M
五味さんは、「かがくのとも」シリーズで他にも、『からだの みなさん』、『にているね!?』、『こんなとき きみならどうする?』などの絵本があります。どれも、普段あまり意識していないけれど、実はとっても深いテーマを私たちに投げかけてくれる作品ばかりです。この機会に、ぜひあわせて手にとってみてくださいね。
2025.12.19

