豆の夫婦のユーモラスなお話『えんどうまめばあさんとそらまめじいさんの いそがしい毎日』

春爛漫の陽気にさそわれて、街中に繰り出す人々の姿が生き生きとしているように見えます。学業や仕事、引っ越しなどで環境が変わり、忙しい日々を送っている方も多いのではないでしょうか。今日は、そんな春のひととき、子どもも大人も楽しめる絵本をご紹介します。
『えんどうまめばあさんとそらまめじいさんの いそがしい毎日』
小さな家にえんどうまめばあさんと、そらまめじいさんが仲良く暮らしています。二人とも働き者で、朝から晩まで「くるくると まめまめしく」働いているのですが、ひとつだけ困ったことがあります。それは、何かをしている途中でも他にやりたいことを見つけると、すぐにやらないと気が済まないということ……。
ある日、お昼ごはんを食べていたおばあさんは、庭のえんどうまめのつるが伸びてきていたことを思い出します。食事もそこそこに、つるを巻き付ける棒を持って庭に出ますが、雑草が生い茂っているのを見て、棒を立てるのを忘れて草取りを始めます。刈り取った草を眺めていたおばあさんは、これをうさぎに食べさせようと、うさぎ小屋に急ぎます。ところが、うさぎ小屋の金網が壊れているのを見て、草はそのままにして、おじいさんを呼びに行きます。

その後も、次々に仕事をこなした二人。夜、ようやくベッドに入ったと思ったら、「ああ たいへん!」あることを忘れていたことに気づいて跳ね起きます。えんどうまめばあさんとそらまめじいさんの、忙しい一日の顛末を、ユーモラスに描いた絵本です。
この絵本は、松岡享子さんと降矢ななさんの共作です。松岡さんが語ったゆかいなお話のアイディアをもとに、降矢さんがさらにアイディアをふくらませ、当時病床にあった松岡さんに絵の構想を見せて相談しながらお話を完成させました。降矢さんのおつれあいで、画家のペテル・ウフナールさんとの生活もこのお話のタネになっているそうです。

見返し(表紙の裏側)に描かれているおじいさんとおばあさんの庭は、スロヴァキアにある降矢さんご夫妻の自宅とペテルさんの実家をモデルに描かれたそうで、スロヴァキアの自然と生活スタイルが感じられます。おふたりの日々の暮らしのひとこまが描きこまれたかのような世界には、本当に気持ちのよい時間が流れています。
「『暮らす』ということが大事。いそがしく、たのしくね」
おはなしと手仕事をこよなく愛した松岡享子さんのメッセージとともに、ゆっくり味わっていただきたい絵本です。
担当・N
先々のことにあれこれ思いを巡らせて気忙しいときは、手近な絵本をひらきます。心休まることもあれば、おはなしの世界の住人たちがよいヒントをくれることも。
2026.04.22

