作者のことば
読みつがれる『竹取物語』
中脇初枝
『竹取物語』は、1100年も前の平安時代に書かれたとされています。誰が書いたのかはわかっていません。
けれども、『竹取物語』が書かれるずいぶん前から、竹取の翁のお話や、天から降りてきた天女が、天の羽衣をまとって天へ帰っていったというお話が伝えられていました。そのため、この『竹取物語』は、作者がひとりで考えたのではなく、人から人へと語りつがれ、書きつがれてきた昔話を元にして、五人の貴公子の求婚などのくだりが新たに描かれ、書き上げられた物語と思われます。
「今は昔」と物語は始まりますが、この言葉は、いつのことか特定せず、どこのことかも語らない、昔話の始まりの言葉「むかしむかし、あるところに」と同じです。『源氏物語』では、『竹取物語』のことを「物語の出で来はじめの祖」としています。
かぐやひめは、貴公子や帝に求婚されながらも、自らの意思と知恵、そして姿を消すという人ならざる者ならではのやり方で拒み、育ててくれたおじいさんとおばあさんと共に暮らし、やがて、自分の本来あるべき場所である月に帰っていきます。自らの意思を貫き、知恵をもって生きるかぐやひめの強さが、わたしたちの心を惹きつけつづけるのかもしれません。
今回の再話にあたっては、できるだけ『竹取物語』の原文に忠実に、一方で、語りつがれて伝えられてきた昔話の語り口をいかして語りなおしました。
いつの時代も愛されてきたこの物語が、1100年を経た今、中井智子さんの描かれた、息をのむほど美しい絵とともに、ふたたび、たくさんの人たちに楽しんでもらえますように。
基本情報
- カテゴリ
- 月刊誌
- ページ数
- 32ページ
- サイズ
- 19×26cm
- 初版年月日
- 2025年08月01日
- シリーズ
- こどものとも
- ISBN
- ー
- テーマ
- ー
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