福音館書店

みずたまりと いきもの

かがくのとも|2025年8月号

夏、林の中に大きな水たまりができました。すると、鳥がやってきて水浴びをします。日が沈むと、タヌキやイノシシなども入れかわり立ちかわりやってきて、水浴びしたり水を飲んだりしました。ある雨上がり、町の中に小さな水たまりができました。さて、何かやってくるのでしょうか? ――大きな水たまりも小さな水たまりも、じつは多様な生命を支えているのです。

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作者のことば

いのちを支える水たまり
槐 真史

公園の干上がった水あそび場に前日の雨がたまり、小さな水たまりができていました。のぞき込むと、たくさんのハイイロゲンゴロウが泳いでいます。このゲンゴロウは夏から秋にかけて大移動し分布を広げていますが、その道すがらの休憩場として、急遽できた水たまりで体を休めているのでしょう。すぐ消えてなくなる水たまりでも、アキアカネやシオカラトンボが産卵をしたり、ナミアメンボが泳いでいたりする光景を見るたび、生きものを引き寄せる水たまりのパワーに驚きとともに興味を膨らませていました。

あるとき林の中で、小さな崖からしみ出す水がたまってできた水たまりを見つけました。崖から水が供給され続けるおかげで、春から秋にかけては増減があるものの5センチほどの深さは保たれそうです。この水たまりはなかなか消えそうにないため、多くの動物が集まってくるのではないかと思い、自動で撮影できるカメラを設置してみました。

カメラを設置してから1か月後、撮影された映像を確認すると、日中にはシジュウカラやヤマガラ、キジバトなどの鳥たちが水浴びや水飲みに訪れ、夜には水浴びするイノシシや水飲みするホンドタヌキ、イタチやアナグマなどの哺乳類の姿がありました。なかには猛禽類のオオタカやツミ、フクロウなどの滅多に出会えない水浴びシーンも映されていて驚きました。けもの道が水たまりに向けて何本も伸びていることからも、周りに棲む動物たちの多くが利用していることがうかがえました。

撮影された画像には、一頭だけで水を飲むイタチや親子で来るイノシシ、大人の集団で来るホンドタヌキなど、種類ごとに異なる生活スタイルも映し出されていました。また、深夜になって動物の気配がなくなったころに、アカネズミなどのネズミ類がせわしなく何度も水たまりを行き来する姿も映っていました。これは、フクロウなどの天敵を警戒し、落ち着いて水を飲むことができない様子を物語っています。水たまりは動物たちのドラマもたくさんたまっている場所だと感じました。

水たまりは、人にとっては厄介なものかもしれません。道にあれば歩きにくくなるし、くぼみにできればボウフラが生まれて蚊になってしまいます。しかし、動物たちにとっては水を得る場所であり、休憩場所でもあることを知っていただき、少しは大目にみようという人が増えたらいいなと思って本書を作りました。水たまりは、すぐに消えようと長持ちしようと、動物の暮らしを支える大切な場所なのです。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
28ページ
サイズ
25×23cm
初版年月日
2025年08月01日
シリーズ
かがくのとも
ISBN
テーマ

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