福音館書店

むしの へんしん

ちいさなかがくのとも|2025年8月号

夏の夕暮れ、ゆっくりと道を歩く「虫」を見つけました。「こんなところを歩いていたら、ふまれちゃうよ」と、その「虫」を家に連れて帰り、家のカーテンにとまらせておくと、セミの姿に大変身! 「虫」はセミの幼虫だったのです。茶色い幼虫の背中が割れて、中から出てくるセミの成虫との出会いは、一生忘れえぬ夏の日の思い出となることでしょう。

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作者のことば

宇宙船セミ号の夜
澤口たまみ

昆虫は、皮を脱いで大きくなる生きものだ。皮を脱ぐとき、多くの虫はその場から動かなくなる。虫を食べる動物はたくさんいるから、動かないのはとても危ない。したがって、明るい昼間や見つかりやすい場所で堂々と皮を脱いだりはしない。そんな脱皮のクライマックスは、成虫になるときの羽化である。チョウやガは、イモムシ型の幼虫からサナギという準備期間を経て大へんしんするが、バッタやカマキリは、羽化によってはねが伸びるものの、姿形の印象は大きくは変わらない。

セミにはサナギという期間がないが、羽化によって生活が一変する。羽化の前後も原っぱにすみ続けるバッタやカマキリと、セミとの違いはそこだ。サナギという準備期間を持たないセミの羽化が、チョウのそれに匹敵するような「へんしん感」を見る者にもたらすのは、地中から樹上へ、大きくすみかを変えることと無縁ではないだろう。

そもそもセミの場合、地面にぽっかりと開いた穴から幼虫が出てくるまで、わたしたちの多くはその存在すら意識していない。ゆっくりと地表を歩くセミの幼虫が、わたしには宇宙服を着た飛行士にも見えて、地球は宇宙船セミ号だったのか! と想像を巡らせる。

地表への出現から半日ほどで、セミは宇宙服ならぬ地中服を脱ぎ、はねを伸ばしてみせる。その姿は本誌に詳しいが、見飽きぬ美しさであることは間違いない。おとなになったいまでも、わたしは息をのみ、あんぐりと口を開けて見入ってしまう。それは、宇宙船セミ号の乗組員になる、ひそやかで、かけがえのない夜である。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
24ページ
サイズ
23×20cm
初版年月日
2025年08月01日
ISBN
テーマ

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