さかなの おそうじやさん

かがくのとも|2025年9月号

小さな魚が営む、海の中のお掃除やさん―海の中には「クリーニングステーション」と呼ばれるふしぎな場所があります。そこではホンソメワケベラという小さな魚が、他の魚の体をきれいにしています。色とりどりの魚や大きなマンタが、お客さんとしてやってきますよ。海洋生物研究者が描く、種をこえた共生の科学絵本。命のつながりと、海のふしぎに出会える一冊です。

  • 読んであげるなら
    5・6才から
  • 自分で読むなら
※単品のご注文は書店にて承っております。詳しくは書店にお問い合わせください。
¥460(税込)

● お申し込みについての詳細はこちら

● 海外への発送をご希望の方はこちら

この商品をシェアする

作者のことば

クリーニングステーションについて
大村文乃

本誌は石垣島のクリーニングステーションを舞台にしています。クリーニングステーションとは、生物が他の生物によって体を掃除してもらう場所です。掃除する側をクリーナー、される側をクライアントと呼びます。クリーナーはクライアントの体表や口の中や鰓穴の中から、寄生虫や死んだ皮膚などを食べます。

ホンソメワケベラは、房総半島からインド洋、中部太平洋に分布する小型のベラです。掃除を行うので他の魚に食べられにくいと考えられています。例えば登場したバラハタは肉食ですが、ホンソメワケベラは食べられずに掃除しています。ホンソメワケベラの体の模様が、クリーナーとしての目印になるようです。

しかし、サービスを提供する働き者がいれば、当然そうではない者も存在するのがこの世の摂理。本誌には登場しませんが、ホンソメワケベラに便乗して利益を得る、ニセクロスジギンポという魚が存在します。掃除をしないのに、姿はホンソメワケベラとそっくりです。ホンソメワケベラが肉食魚に食べられにくいことを利用して捕食を免れ、掃除を目当てに間違えて接近してきた魚のヒレをかじり取ってしまうのです。このニセクロスジギンポのせいでクライアントが減ってしまうことも!……世知辛いですね。

ホンソメワケベラはクリーニングステーションの担い手なので、サンゴ礁生態系に大切な役割を果たしています。その実際のサンゴ礁の様子を伝えるために、石垣島のクリーニングステーションで潜水して生態調査を行いました。

背景には実際に生息していた生物達を登場させています。アオウミガメ(9、11、13ページ)をはじめとし、口が伸びるギチベラ(9、11、13ページ)、派手なヤシャベラ(16ページ)、サンゴや岩の上にはイシガキカエルウオ(13ページ下)やメガネゴンベ(19ページ右下)、岩の隙間にはシラナミガイ(14ページ)もいます。波がやや強い環境のため、サンゴは波に耐えうるソフトコーラルや平たいテーブルサンゴが多く登場します。

また、自然界では尾が切れていたり、サメにヒレを食いちぎられたりしたマンタが多いのですが、本誌ではクリーニングステーションに訪れるマンタのうち、傷が少ない個体を選んで描きました。本誌に登場するのは、地元ではウサギちゃんの呼び名で親しまれているメスです(腹面の模様がそれぞれ異なり、この模様で個体を識別します)。

さらにそれぞれの絵に命が宿るよう、細部についてはロンドンと国内の自然史博物館の魚類標本を調査して一筆一筆描きました。

ホンソメワケベラの奮闘ぶりとサンゴ礁生態系の豊かさをお楽しみいただけたら幸いです。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
28ページ
サイズ
25×23cm
初版年月日
2025年09月01日
シリーズ
かがくのとも
ISBN
テーマ

みんなの感想(6件)

まず表紙の海の青の鮮やかさ、イソギンチャクの華やかに目を惹かれました。1番好きなページはバラハタのドアップ! 迫力があり、ホンソメワケベラはそんな所までお掃除してくれるの?と驚きもあり、大好きです!

私が知ってる海だ! 近所の本屋さんで行われていた原画展のポスターが気になって、手に取りページをめくりました。色も魚たちの表情も、シュノーケルで海の中を眺めているようでわくわく。サンゴのリアルさにハッとして思わず指先で触れてしまいました。共存するいのちのありようとそれぞれの役割がやさしく伝わって来て、食うか食われるか、とか、大きいものが強いといった思い込みが溶けていくようです。まだ知らずにいる海のいのちの豊かさを知りたいと思いました。ぬくもりあるタッチとやわらかなまなざし。いい絵本をありがとうございました。

沖縄で毎週潜っているダイバーです。「さかなのおそうじやさん」に登場するホンソメワケベラが大好きで、目に入ると観察してしまいます。こちらの絵本を読むと本当に海に潜っている気持ちになります♪ 作者の大村文乃さんの世界観や絵がとても素敵で、次の作品がとても楽しみです! 5歳の子どもがいる友人に絵本をプレゼントしたところ、寝る前に親子交代で読み聞かせごっこをしているようです^^

書店のトークショーに参加しました。海好きの息子が魚さがしに夢中になっていました。ホンソメワケベラは食べられちゃうのかな?という問いかけに「お掃除!」と一生懸命に答えていました。面白い魚ですね。

息子は海の生き物が大好きです。特にサンゴの海や、サメ、毒のある魚やカニに興味があります。ホンソメワケベラが忙しくお掃除するシーンを読んだ後、一言。「いっぱいおそうじして体が大きくなって、タカサゴのお口に入れなくなったらどうしよう」と。新たな疑問が浮かんだようです。また付録のポスターを見て、「ミノカサゴにさされたらどうするんだろう?どうやっておそうじしているのかな?」とワクワクした顔をして言っていました。

石垣島のサンゴ礁を見たことがありますが、クリーニングステーションという役割をもつことを初めて知りました。魚たちの不思議な信頼関係にはただただ感心するだけです。大村文乃さんの本はどれもきれいな絵と深い知識にあふれているので、今から次回作が楽しみです。

※いただいた感想は編集を加えたうえで、弊社宣伝物に使用させていただくことがございます。また、本サイトのより良い運営を妨げると判断した感想は、予告なく削除する場合がございます。ご了承ください。

※ご意見・ご感想への返信はいたしておりません。ご質問・お問い合わせについてはこちらをご参照ください。

※ご登録いただいたメールアドレスは、レビューに関する弊社からの問い合わせや連絡等の目的以外には使用しません。

あのねメール通信

著者のエッセイや新刊情報を
毎月メールで配信します。

SNSで最新情報をチェック