ニホンカモシカのパール

たくさんのふしぎ|2025年11月号

ニホンカモシカは険しい山でくらし、他の動物が通れないような急な崖も、上ったりおりたりすることができます。著者前川さんは、20年以上にわたって青森県の山に通い、その姿を撮影してきました。そして出会ったカモシカの子をパールと名づけます。やがてパールは子を産みますが、暑い夏や雪深い冬を超えて、子育てはうまくいくのでしょうか。

  • 読んであげるなら
  • 自分で読むなら
    小学中学年から
※単品のご注文は書店にて承っております。詳しくは書店にお問い合わせください。
¥810(税込)

● お申し込みについての詳細はこちら

● 海外への発送をご希望の方はこちら

この商品をシェアする

作者のことば

カモシカが教えてくれる
前川貴行

動物写真家になって25年が過ぎました。長かったような、あっという間のような、ふしぎな感覚です。

これまで、本当にたくさんの動物たちの写真を撮ってきました。振り返ってみても、よくこれだけ数多くの動物たちに出会えたものだと思います。

そのなかでも下北半島にすむニホンカモシカは、僕にとって特別な存在です。カモシカのことを気に入っていることもありますが、他にも理由があります。

ニホンカモシカは長いあいだ、特別天然記念物として保護されてきたこともあり、個体によってはそれほど人のことを警戒しません。だから驚かせないようにすれば、かなり長い時間追いかけることができます。これまで最も長く追いかけたのは8時間程です。

アップダウンの激しい山の中を長時間追いかけるのは大変です。でもその大変さが、動物写真家としての僕を鍛えてくれるのです。

体力的なことにくわえて、いかにそばに居続けることをカモシカに許してもらえるか。下北半島でカモシカを追うことは、野生動物撮影の基本になるのです。

デスクワークが重なって長期間フィールドに出られなかったとき、鈍ってしまったかもしれない撮影の感覚を呼び覚ますため、僕は下北半島に行ってカモシカを追います。そうすると、急峻な山を歩く体力と、動物と向き合う感覚がよみがえってきて、まだまだがんばれると自信が湧いてくるのです。

この本の主人公である「パール」は今年10歳になりました。本文の最後に出てきた昨年生まれの子どもは「しろ」と名づけられました。

ユースホステルの磯山さんが報告してくれたのですが、今年の5月に「パール」がまた赤ちゃんを産みました。そのとき僕は北海道にいたのですが、函館からフェリーに乗って下北半島に渡り、「パール」に会いに行きました。 そうしたら、「パール」が赤ちゃんを連れて目の前に現れたのです。その赤ちゃんは磯山さんによって「あお」と名づけられました。性別はまだ分かりませんが、とても活発な赤ちゃんです。

別の場所では「しろ」も元気な姿を見せてくれました。厳しい冬を無事乗り越えたのですね。

今、牛の首には「パール」と1歳の「しろ」、それに赤ちゃんの「あお」がいます。「パール」の母親ぶりは、貫禄がついてとても堂々としたものでした。なにより「パール」が元気でいてくれたことが嬉しかったです。

僕は「パール」と見つめ合うと、なんとも言えない温かな気持ちに満たされるのです。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
40ページ
サイズ
25×20cm
初版年月日
2025年11月01日
ISBN
テーマ

みんなの感想(3件)

学生時代登山をしていた関係で、山に行くとたまに会えるカモシカは私にとって身近で、けれど近づき難い存在でした。ある時、三つ峠を登っていた時にふいに真っ黒なカモシカと鉢合わせし、目と目で数秒見つめあったことがあります。その時の神々しさを思い出すような美しい写真の数々でした。読むとカモシカの生態についてあまり知らなかったことにも気付かされました。作者の前川さんは20年も同じ山域に入り同じカモシカを追い続けているとのこと、パールとの不思議な関係性にも興味をそそられました。普段はたくさんのふしぎを定期購読し、来ると子どもにさっと渡すのですが、引き込まれるタイトルと表紙に、一気に読んでしまいました。

初めて『たくさんのふしぎ』を買いました。今月は、前川貴行さんの『ニホンカモシカのパール』。動物写真家の前川さんの大ファンで、発売を心待ちにしていました。子どもにもわかるお言葉と、素晴らしいお写真にまず心を奪われました。何度も読み進めるうちに、涙が溢れてきました。過酷な自然の中で生き抜いていくニホンカモシカの親子。お母さんも子ども達も、可愛くて可愛くて逞しくて、会いに行きたくなりました。そして、巣立ちと共に別れゆく親子。それらを極寒の冬にも何度も通い、見つめ続ける前川さんの温かな心。何度も読み、たくさんの素晴らしいお写真を、じっくりと見ました。昨日から、パール親子がふっと思い浮かんでくるのです。子ども達にも読んでもらいたいなあ。

11月号の「ニホンカモシカのパール」、思わず涙が出ました。野生動物が人間と同じような感覚を持っているのかどうかわからないけれど、それでも、子を持つ親の感覚はきっと同じに違いありません。動物だから言葉はないし、涙も見えないけれど、山の中でいろいろなできごとを乗り越えて生きる姿に、心を動かされました。これはぜひ傑作集として長く読み継がれてほしいと思いました。

※いただいた感想は編集を加えたうえで、弊社宣伝物に使用させていただくことがございます。また、本サイトのより良い運営を妨げると判断した感想は、予告なく削除する場合がございます。ご了承ください。

※ご意見・ご感想への返信はいたしておりません。ご質問・お問い合わせについてはこちらをご参照ください。

※ご登録いただいたメールアドレスは、レビューに関する弊社からの問い合わせや連絡等の目的以外には使用しません。

あのねメール通信

著者のエッセイや新刊情報を
毎月メールで配信します。

SNSで最新情報をチェック