福音館書店

イタリアの丘の町

たくさんのふしぎ|2025年12月号

ヨーロッパでも早くから国としてまとまったフランスやドイツとちがい、イタリアは数百年もの間、小さな国々に分かれお互いに争っていました。その歴史から生まれたのが、イタリアの丘の町の数々です。城壁を周囲にめぐらせて町全体を守っていた町も、現在では美しい観光都市となっています。細い坂道や石段をたどるのが楽しい町々を、精密な絵でご紹介します。

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    小学中学年から
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作者のことば

本当の時間
古山浩一
 
年に一度、スケッチ旅行でイタリアなど古い街が残るところを訪ね歩いている。たいていローマの空港に夜着いて、そこからバスで移動するので到着は夜中になる。それでも山の中の真っ暗な道を走っていて、突然ライトアップされた中世の街が現れると、バス中から歓声が上がる。この瞬間から、街の時間にタイムスリップする。

朝は8時半からスケッチが始まる。街角に座ってスケッチをしていると、30分ごとに教会の鐘が鳴る。まず何処かの教会の鐘がガランゴロンと鳴り始めると、それに和すように町中の鐘が鳴り始める。その壮大な音に身を浸していると、自分は今この街の時間を過ごしているのだと感じる。携帯にデジタルで出てくる時間では無くて、空気があり、温度があり、匂いも、音もある時間である。街が自分を包んでくれる。これが本当の時間なんだよなあと思う、実に落ち着く。

日本が失ってしまった濃密な人との交流の時間が、イタリアの中世の街には残っている。とにかく皆さんおしゃべりである。知人であれば、ただ挨拶だけではすまない。必ず、お互いの近況から今日の話題まで楽しそうにしゃべっている。広場に毎夕、同じ椅子に同じ順番で4人並んで座っているお爺さんたちがいて、ガイドさんにあれは何を話してるんですか? と聞いたら、昔の恋愛談議が中心だそうだ、お若い。スケッチの帰りにいつも居るので、ボナセラと挨拶すると向こうも手を挙げて挨拶を返してくれる。朝、東から昇った日の光は西に沈むまで様々に街を照らして、建物を刻々とドラマチックに変えて見せてくれる。夜になると街は街灯の光だけになり、暗い中に浮かび上がる街並みはまさに中世そのものです。

今回のイラストはすべて万年筆で描かれています。細かい描写をするために、一番細い万年筆は0.13mmの細さに職人さんに研ぎあげてもらっています。1ミリくらいから5ミリくらいまで段階的に太さが変わるペンなど、約30本のペンを使って描きました。びっしりと家並みが連なっている街など、1枚描くのに1か月くらいかかります。僕の街の絵を見て行ってみたいなあと思った人は、ぜひその夢をいつか叶えて、街の時間を味わってほしいです。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
40ページ
サイズ
25×20cm
初版年月日
2025年12月01日
ISBN
テーマ

みんなの感想(1件)

力強く、且つ繊細なタッチのペン画が素晴らしく、一切の妥協の無い筆力に本物の魅力を感じます。そして、古いイタリアの街々のことも丁寧に調べて分かりやすい言葉で書かれています。このような本物で誠意のある絵本に出会えて、作者に感謝です。

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