『やまやまのへっぴりじさま』は語り口が民話調のお話で、5歳の娘には理解できるかしら?と心配して読み始めると、そのような心配は全くいらず、楽しそうに聞いていました。「ちゅうちゅう、にしきさらさら〜」の独特な言い回しが始まると笑い出し「とっぴんぱらりの、ぷっ」のところでは大笑い。隣の強欲なじさまがへをたれる場面では「びじかぢびじかぢって、きちゃない音で嫌だねぇ」と、二人で顔をしかめて読んでいると、主人がしゃもじをとってきて「こんな感じ?」と、強欲なばさまの真似をするので、それを見てまた大笑い。最後の「とっぴんぱらりの、ぷっ」でも思わず吹き出してしまい、終始楽しく読ませていただきました。これからも、素敵な本を心待ちにしております。
作者のことば
ばっぱのはなし
小林輝子
昭和十九年、東京では学童疎開がはじまっていました。当時四年生だった私は、岩手から迎えに来てくれた祖父に連れられて、岩手の山の中の小さな温泉場にある祖父の家に父母と別れて疎開してきました。そこには、いとこたちが三人いて、昼は淋しいことはなかったのですが、夜になると母を思い出してめそめそして祖母[ルビ=ばっぱ]を困らせました。祖母は子どもたちをいっしょに寝かせて、毎晩昔話を聞かせてくれました。「むかし、むかし、あったけずおん……」。
話の中の主人公になった気分で、話が怖いところにくると、おはぐろをつけていた祖母の口が、今にもかっと開き、自分たちを食べてしまうのではないかと身をちぢめたりしたものでした。そして、その話が全部終わらないうちに、子どもたちは眠ってしまうのでした。
疎開から東京へもどらずそのまま岩手に五十数年、私もおばあちゃんになりました。孫が二歳を過ぎた頃から、毎晩「むかし、むかし、あったけずおん……」と昔話を聞かせました。祖母と同じように。平成二年には、女の孫が生まれました。夜、私は二人の真ん中に寝て、一つずつお話をします。はじめにお兄ちゃんの好きな「やまんばとこぞう」の話。次に妹の好きな「やまやまのへっぴりじさま」の話。
なぜって、お兄ちゃんの方は学校から帰ってきてから野山をかけまわるので、すぐ眠ってしまうからです。なかなか寝ない妹の方は、話が終わっても、もう一つお話をしてとせがみます。
二人がぐっすり眠った頃、裏の山で夏はあおばずくが、冬はふくろうが鳴き出します。
*この作品は、1996年11月号として出版したものの再版です。「作者のことば」はそのときのものを抜粋、一部を編集して再録しました。
基本情報
- カテゴリ
- 月刊誌
- ページ数
- 28ページ
- サイズ
- 26×19cm
- 初版年月日
- 2026年01月01日
- シリーズ
- こどものとも年中向き
- ISBN
- ー
- テーマ
- ー
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