土のうの道

たくさんのふしぎ|2026年1月号

「自分たちの道は自分で直す!」。道は私たちにとっては当たり前のようにあるものです。しかし、アフリカでは、学校、病院や市場に行くための大切な道が、雨などによって使えなくなることがよくおこります。そうした問題を解決するため、日本の土木工学の粋を集めて作られた、お金がかからず、人力だけでできる簡単な技術。それが「土のう」を使った道直しなのです。

  • 読んであげるなら
  • 自分で読むなら
    小学中学年から
※単品のご注文は書店にて承っております。詳しくは書店にお問い合わせください。
¥810(税込)

● お申し込みについての詳細はこちら

● 海外への発送をご希望の方はこちら

この商品をシェアする

作者のことば

人々の暮らしを守り豊かにしたい
木村 亮

私は大学の教員として「人々の暮らしを守り豊かにする」土木工学を学び、特に土のことに興味を持ちました。地震が発生したとき周りの土から力を受け、基礎構造物やトンネルは変形します。極度の変形をしないようにどうしたらよいか研究しました。

一方、自転車旅行が好きで、一人で日本のあちこちを走りキャンプし、19歳の時にカナダを横断しました。自転車ならどこでも自分の足で行けます。坂道は苦しいけれど、峠の上にたどり着いた時の達成感や、下りの爽快感、地図の上に自分の足跡を残せることに夢中になりました。その後24歳の時にサハラ砂漠を縦断し、ヨーロッパを走り、世界中を5万キロ自分の足で走破しました。

大学で研究者としてやっていけると感じた34歳の時、国際協力機構(JICA)がケニアで実施している大学造りのプロジェクトに参加し、これから発展する国での人造りに興味を持ち、それ以来、100回近くアフリカの大地を踏みました。

30年前のケニアの道路事情は悪く、アスファルトで舗装された道路は全体の10%ほどでした。農業国のケニアでは、毎年雨季が始まると農民たちは畑に種をまき、雨季が終わるころ換金作物を収穫します。それを市場に持っていこうと思っても、雨が多く降ったため未舗装の土の道路は泥だらけになり、車が途中でスタックし作物を市場まではこべず、腐らせてしまうことが問題でした。道が悪いので農民や住民の皆さんが裕福になれず、貧困にあえいでいたのです。道が悪ければ診療所や学校にも行けないのです。

「土のう」を使った道直しは、簡単な方法で、機械を使わず人力で、そこにある材料を使って、経済的に道路を補修する方法です。「自分たちの問題は自分たちで解決する、また解決できる」という意識を広げ、自立に向けたお手伝いです。もう25年間この活動を続け、ケニアでは「土のう」と言う言葉が広がり、道直しに参加した農民や若者のグループが建設会社を設立し、政府も簡便な道直しの方法を理解し、彼らに仕事を発注するようになりました。

私の活動はこれで終わりではなく、道直しから橋造り、ため池造り、水路造りへと発展しています。日本の土木技術者の想いが人々の暮らしを守り豊かにした物語です。皆さんで泥の道がきれいになっていく様子を想像し、彼らの発展を応援してください。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
40ページ
サイズ
25×20cm
初版年月日
2026年01月01日
ISBN
テーマ

みんなの感想(1件)

現地にある材料を使って大きな問題を解決していく——その発想の力強さに心を打たれました。25kgの土のうひとつにも、土の粒の大きさや水分の具合など、細やかな観察と経験が詰まっています。アフリカに100回以上足を運んだ土木専門の京大名誉教授が書いた文章は、学問というより、人生の知恵そのもの。現場の空気や人々の生活が目に浮かびます。そして、ふしはらのじこさんの温かな絵が加わることで、難しい内容も不思議とやさしく、親しみを込めて伝わってきます。読むほどに、「解決」とは人と土地への深い理解から生まれるものだと感じました。

※いただいた感想は編集を加えたうえで、弊社宣伝物に使用させていただくことがございます。また、本サイトのより良い運営を妨げると判断した感想は、予告なく削除する場合がございます。ご了承ください。

※ご意見・ご感想への返信はいたしておりません。ご質問・お問い合わせについてはこちらをご参照ください。

※ご登録いただいたメールアドレスは、レビューに関する弊社からの問い合わせや連絡等の目的以外には使用しません。

あのねメール通信

著者のエッセイや新刊情報を
毎月メールで配信します。

SNSで最新情報をチェック