「わたし」は、こんなにもおもしろい
齋藤 槙
この絵本を読んでいるあなたは、どれくらいじぶんのこころと仲良くしていますか?
わたしが小学生だった頃を思い返してみると、毎日じぶんにふりかかる出来事と、それに伴って移り変わるじぶんの気持ちについていけなくて、竜巻のなかにいるような思いでした。もちろん楽しいことだってあります。それでも、目まぐるしく変わる景色のなかで、「安心感」とは程遠い感覚でした。
もしも当時のわたしと同じように感じている小学生がいるのならば、竜巻の外側へと手を取り、連れ出してあげられるような絵本が作れたら、と思い立ちました。そう思えたのは、わたし自身が大人になっていく過程で、じぶんのこころと仲良くなっていったからなのかもしれません。日々、じぶんのなかの感情やこころの様子をのぞき込み、そこで何が起こっているのかを観察しました。そうすることで、じぶんの気持ちが見えてきて、安心感を持てるようになりました。
わたしはおこりんぼうだし、わがままだし、こわがりでもあります。それは、じぶんの大切なものを守りたいと思うし、じぶんの信じることを貫きたい気持ちがあるからです。最近は、ぷんすかがわたしのなかで騒いでも、「またやってる」とかわいらしく感じるようになりました。わたしのなかのぷんすかが「ちゃんと見てもらっている」とわかっているから、大暴れしなくなってきたのかもしれません。感情たちは子どものようです。親(わたし)に見ていてもらいたいし、じぶんの気持ちを知ってほしい。見守られていると安心感のなかで過ごしている感じがします。じぶんのこころのなかは、まるで映画のように楽しいものです。
でも、つらいことやショックなことがあると、すぐには楽しく見つめられないこともあります。そんな時でも感情たちは、わたしたちが受け止める準備ができる日をじっと待っていてくれるのです。何年でも何十年でも。これはすごく懐が深くて、愛情深いしくみだと思います。
だから、あせらず、その日が来るのを待ちましょう。わたしにも「待ってもらっている」過去の記憶があります。時が来て、タイムカプセルを開けるようにして恐る恐る見るものは、たぶんとても美しいものに見えるのだろうと思います。その日を楽しみにしたいと思います。「わたし」というものは、こんなにもおもしろいのだから。
さいごに、この絵本をつくるにあたって、児童精神科医の竹内伸先生に助けていただきました。ありがとうございました。