福音館書店

ジッタとゼンスケ はなみにいく

こどものとも|2026年3月号

オオカミの兄弟、ジッタとゼンスケは花見をするために、山から町へやってきました。茶店でひとやすみしていると、ねこの女の子がかけこんできて、迷子の弟を探しているといいます。ジッタとゼンスケは迷わず迷子探しを引き受けることに。果たして、迷子のねこの男の子は見つかるのでしょうか? 新感覚時代劇絵本第2弾。

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作者のことば

上野公園での花見
くら ささら

大学生の時、放送研究部に入っていた。部では毎年花見をするのが恒例で、場所取りは、新入部員でくじを引き、当たりを引いた一人がすることになっていた。その年、実は罰ゲームのような当たりを引いたのは私だった。私は部に代々伝わる、ブルーのビニールシートの巻物を家に持ち帰り、花見当日の早朝に家を出て、上野駅に着いた。先輩からは、「毎年うちの部は上野公園の五重塔近くに陣取ってるから。俺たちは、夕方に行くから」とだけ言われていた。地図で見ると簡単そうに思えたが、実際のところ、上野公園は広大な迷路だった。

私は、人に聞きながら、やっとのことで五重塔にたどりつき、シートを広げた。持ってきたおにぎりを食べながら買ったばかりの村上春樹の『羊をめぐる冒険』を読み終えても、まだ昼間。このまま誰も来なかったら、と思うと、自分がこの世で独りぼっちのような気がしてくる。しかしふと見ると、近くに同じ新入部員のN君が立っていた。「早く来すぎちゃった」とN君。二人で話していると、やがて夕方になり、「ABS! ABS!」という大合唱が聞こえてきた。N君と私があらんかぎりの大声で「ABS! ABS!」と応えると、間もなく、「いたー」「そこかぁ」と先輩たちが、お酒を掲げてやってきた。ABSというのは、部の英語名の頭文字である。携帯電話のなかった時代、私たちの待ち合わせの約束は非常に漠然としたものであり、現地に行ってから、その曖昧さを動物的に埋めていって合流したのである……。

そんな花見を思い出しながら書きました。ジッタとゼンスケは花見ができるのか、どうぞ見守ってあげてください。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
32ページ
サイズ
19×26cm
初版年月日
2026年03月01日
シリーズ
こどものとも
ISBN
テーマ

みんなの感想(1件)

3歳の娘が毎晩寝かしつけ時にこの本を要求してきます。鮮やかな色使いにテンポのいい言い回しが好きなのか、間も飛ばすことなく聞いています。毎日読まされるので、いい加減本がぼろぼろになってきました。ハードカバーを出してほしいです。

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