なにが はいっているのかな?
かがくのとも|2026年3月号
町を歩いていたり、電車に乗っていたりするとき、大きな荷物を持っている人を見かけて「いったい何が入っているのかな?」と思ったことはありませんか? この絵本ではそんな謎の荷物を持った人が次々に登場します。どんなものが入っているのか、そして、その中身を組み立てると何になるのか。子どもたちの想像力を刺激してやまない絵本です。
- 読んであげるなら
5・6才から - 自分で読むなら
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かがくのとも|2026年3月号
町を歩いていたり、電車に乗っていたりするとき、大きな荷物を持っている人を見かけて「いったい何が入っているのかな?」と思ったことはありませんか? この絵本ではそんな謎の荷物を持った人が次々に登場します。どんなものが入っているのか、そして、その中身を組み立てると何になるのか。子どもたちの想像力を刺激してやまない絵本です。
入っているのは可能性
山本久美子
街中や電車の中で、やけに大きな、または不思議な形の荷物を持つ人を見たことはありませんか。なにが入っているんだろう……気になる。でも、知らない人に「その中には一体なにが入っているんですか?」なんて尋ねるのは勇気がいることでなかなかできません。気になりながらもそのまま過ぎてしまいます。
私の娘は高校生のとき吹奏楽部の一員でしたが、あるとき娘たちの演奏会を聴きに行った帰り道のことです。前方に丸い、見たことのない形のリュックをカタツムリみたいに背負った、娘と同じ制服の女の子が歩いていました。私は彼女を見て、ホルンの子だ、と気づいたのでその背中の正体がすぐにわかりましたが、あの立体的な楽器をケースに収めるとこんな形になるのか、と新鮮な思いで見ていました。
またあるとき、海の近くで絵の展示をし、私も会場にいた日のことです。友人が、電車で2時間以上もかかる距離を自転車に乗ってやって来ました。日頃からロードバイクに乗っていると知ってはいたけれどびっくり。「帰りも自転車で?」と聞いたら、バラして持って電車で帰ると言います。夕方、店の表でみるみるうちにバラバラになった自転車は、袋に入れられコンパクトになって、ひょいと担がれて駅へと向かって行きました。
そんなできごとがこの絵本の素になっています。
今回絵本をつくるにあたって各方面に取材をさせていただきました。みなさん、お忙しいなか懇切丁寧に実演・説明してくださいました。袋やケースから飛び出て、組み立てられ、伸びて、広がって、用をなすものに出来上がっていくさまを、私は編集者氏とともにどれも驚きを持って見つめました。きゅっと小さくなって道路や山や海や野原やホールへ運ばれ、その場で姿を現して活躍する。風をきる。寝転がれる。星が見えたり、魚を釣ったり。空まで飛べてしまう。大勢の前で音楽を奏でてしまう。そんな姿を想像してわくわくしました。そして収納とはなんと美しいのでしょう。そこにもうっとりしました。
もし、いろいろなところで気になる荷物を持った人を見かけたら、「なにがはいっているのかな?」と、ちょっと想像してみてください。当たっているかどうかはどちらでもいいんです。様々な可能性に思いをめぐらせるのは楽しいですよ。 あともうひとつ、絵本を最後まで読んだとき、あることに気づいていただけたら嬉しいです。ヒントは「音楽家の休日」。ほとんど答えかもしれません。
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