いきものと熱

たくさんのふしぎ|2026年4月号

あたり前のようにある「体温」。私たち人間の体温は36度から37度くらい。ほかの動物では、スズメの体温はなんと42度。爬虫類や魚はまわりの温度に合わせて体温が変化するものが多くいます。それぞれのいきものにとって活動するためにちょうどよい体温があります。そんな大切な体温を維持し活用する、いきものたちの体のよくできた仕組みを紹介します。

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作者のことば

いきものと熱と地球             
きのしたちひろ

「体温って面白いな」と思うようになったのは、潜水中のウミガメとペンギンの体温変化について知った時のこと。ウミガメの体温は、まわりの水温に合わせて体温も変わるはず。一方、ペンギンの体温はいつも一定のはず・・・・・・そう思っていました。ところが、実際はまったく逆のことが起きていました。本でも紹介したように、ウミガメは高い熱慣性によって体温がほとんど変わらず、ペンギンは体温が大きく下がるのです。すごく奥深いと思いませんか。

その後、さまざまな生き物たちが、自分の体がちょうどよい状態になるよう、熱を生み出したり、ためたり、逃がしたりしている様子を見てきました。その姿から、体は「熱のいれもの」なんだと考えるようになりました。体温調整の中には、無意識にできるものもあれば、意識的に行動を変えて行うものもあります。そのしくみを知れば知るほど、生き物の行動は、熱と深く結びつき、時に支配されているのではないかと思うのです。

人間も同じです。寒い場所での筋肉の震え、血管の収縮、発汗、1日の体温変化などを通じて、生まれてから死ぬまで休むことなく体温を調整し続けています。こんな高性能で楽しい体で生きている自分はラッキーだと思いました。

夏の暑い日、空調のない場所で暮らす生き物たちは、どれほど過酷な状況に置かれているのだろう、と心配になります。近所の公園を見てみると、ほんのわずかにできた木陰や水辺で、体温が上がりすぎないよう、耐えている動物たちの姿があります。そんな生き物たちも、世代を重ねるうちに、少しずつ暑い環境に適した体のつくりへと変わっていくのかもしれません。

温度上昇による変化は非常にゆっくりと起こるので、人間が気付けることは限られるでしょう。家のとなりの公園で起きている変化ですら、見逃してしまっているのではないかと思うと、今起きていることをきちんと観察し、記録しておきたくなります。それが、未来を少しでもましなものにするために役立つかもしれません。

これから先、地球の気温は確実に上昇していくでしょう。

そのスピードをどこまで緩められるかが、大きな課題になります。もし上昇を緩やかにすることができれば、私たちにもほかの生き物たちにも、選択肢が残されているのではないでしょうか。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
40ページ
サイズ
25×20cm
初版年月日
2026年04月01日
ISBN
テーマ

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