作者のことば
主人公は雲の影
富安陽子
我が家のキッチンから見える町並の北側には緑の山々が連なっています。夏の良く晴れた日に眺めていると、空を流れる雲の影が山肌の上をすべっていくのが、はっきりと見えます。しだいに形を変える雲と影との様子が面白くて、台所仕事の手を止めて私はいつも見とれてしまいます。
この絵本の主人公は、象の形をした雲の影です。広々とした園庭までやってきた雲の影は、きっと子どもたちと遊びたくなったのでしょう。地面からムクリ!と起き上がります。そして、子どもたちを背中にのっけたり、かくれんぼをしたり……。
この物語を書き上げた時、どなたに絵をお願いしたらいいのだろうと悩みました。だって、地面に落ちた影がムクリと起き上がるだなんて。文章で書くのは簡単ですが、絵にするとなると、さぞ難しいだろうなあ……と。実体のない影が起き上がり、物体となって命を持たなければならないのです。そして、影と子どもたちが一緒に動き、遊び、心を通わせなくてはなりません。こんな難しいことを、どなただったら絵に描いてくださるのだろうと考えるうち、荒井良二さんに描いていただけたらなあ、という想いが募りました。だから引き受けていただけた時は天にも昇る気持ちでした。完成した絵を見た時には、その何十倍も嬉しくなりました。自由でのびやかで、光と色彩に溢れた世界が「早く遊びにおいでよ」と子どもたちを物語の世界に誘っているようです。一人でも多くの子どもたちがこの世界にやって来て、かげゾウと友だちになってくれますように!
基本情報
- カテゴリ
- 月刊誌
- ページ数
- 28ページ
- サイズ
- 26×19cm
- 初版年月日
- 2026年08月01日
- シリーズ
- こどものとも年中向き
- ISBN
- ー
- テーマ
- ー
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