うえと したと ヒューストン
かがくのとも|2026年8月号
マナブくんは、写真の向きが分からなくて困っているロボット、ヒューストンを助けてあげることになりました。ヒューストンが次から次へと持ってくる写真は、さて、どっちが上でどっちが下でしょうか? 当たり前過ぎてふだん意識しない上下の向きや重力について、絵本を回して、絵の角度を変えて考える驚きの一作。上下の固定観念をもひっくり返す絵本です。
- 読んであげるなら
5・6才から - 自分で読むなら
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かがくのとも|2026年8月号
マナブくんは、写真の向きが分からなくて困っているロボット、ヒューストンを助けてあげることになりました。ヒューストンが次から次へと持ってくる写真は、さて、どっちが上でどっちが下でしょうか? 当たり前過ぎてふだん意識しない上下の向きや重力について、絵本を回して、絵の角度を変えて考える驚きの一作。上下の固定観念をもひっくり返す絵本です。
くるくると回す絵本の刊行に際して
森川智喜
本書『うえと したと ヒューストン』には、絵本ごとくるくると回そうという旨のページがいくつもあります。そうやって、主人公らといっしょに鉛直方向を見抜こうという絵本です。同様に以前自分が携わった絵本『アチャチャを つかまえろ! ‐ねつの はたらき‐』がそうであったように、読むだけではなく〈取り組む〉ことのできる一冊。といっても算数も鉛筆も要りません。〈物理現象に対する定性的なイメージ〉で充分です。つまり数式をこねこねして何がどうなると考えるのではなく、頭の中でイメージした世界が勝手に動くことで何がどうなると考える、そんなアプローチです。
物理学にはさまざまな方程式が登場しますが、それらをあれやこれやと学んだあとでも、数式に頼らない定性的なイメージが役立ちます。数式をこねこねしていてうっかり計算ミスをしてしまったときなど、〈妙だな。イメージした世界ではこんなことにならないんだけど……〉と、定性的なイメージとのズレによってそれに気づける場合があるからです。そもそも、方程式の理解そのものも定性的なイメージと無縁ではありません。たしかに逆にイメージのほうを修正しなければならない場合もありますが、しっかりと修正すれば、やはりのちのち式計算の場面でも役立つはずです。
また、定性的なイメージを洗練しようという姿勢には、学校の勉強という枠にとどまらず、もっと野生的な、何かを想像する能力の源としての役割も期待できないでしょうか。
物体にはたらく力の向きを捉えることは力学の基本であり、鉛直方向は重力の向きです。だから、鉛直方向を見抜こうという本書主人公らの作業は力学の基本に通じます。児童読者のみならず大人読者にとっても、身近な物理についてあらためて考えるきっかけになればと思います。
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