
2016年3月16日 Vol.208 |
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もうすぐ、春ですね |
「あのねメール通信」をご愛読くださいましてありがとうございます。
早いもので、「あのねメール通信」も今年度最後の配信となりました。来月から内容を少し変え、月1回の配信でお届けします。「こどものとも」60周年によせた著名人によるエッセイなどを予定しています。ご期待ください。 |
《1》月刊絵本「こどものとも0.1.2.」創刊20周年記念
~赤ちゃん絵本をめぐって~ |

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"赤ちゃん絵本を描いてみて!!" にしむら あつこ
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私が子どものころは、赤ちゃん絵本というジャンルがまだ今ほど確立されていなかったように思います。シンプルな線と色のハーモニーが美しい「うさこちゃん」シリーズを読んでいた記憶があります。
自分に子どもが生まれ、赤ちゃん絵本を描いてみませんか? と、編集者に声をかけてもらい、ラフを作り始めました。赤ちゃん絵本は、私の中では未知の世界でしたが、「こどものとも0.1.2.」シリーズをよく見てみると、厚紙で出来ていて、赤ちゃんも安心して読めそうな作りで、いい感じです。赤ちゃんはまだしゃべれなくても、まわりの声に「ああ」「うう」と反応してくれます。『ルルル ラララ』はそんな小さな赤ちゃんにも興味を持ってもらえるような音を探しました。いろんな生き物がルルル ラララ♪と歌いながら語りかける絵本です。
今回描いた『みっこちゃん』は、もう少しお兄ちゃん、お姉ちゃんな1~2才の子たちが、生活習慣を楽しく覚えていくことをイメージして作りました。
赤ちゃん絵本は、もちろん小さな子たちに読んでほしいのですが、小さな赤ちゃんに会って大人が勇気づけられたり癒されたりするように、赤ちゃん絵本を読んだ大人の方にもハッとしたり、元気になってもらいたいと、願いを込めて制作しています。まだ2冊しか描いていないので、赤ちゃん絵本の達人とはいかない私ですが、いろいろな年齢の子どもたちを意識して作るきっかけになりました。
以前は、ひたすら自分の幼少の記憶を元に、絵本製作をしてきましたが、子どもが生まれ、小学生の息子と年少の娘がいることで、その周辺の子たちとかかわりができ、現代の子たちのことがより身近になりました。子どもたちを喜ばせるのが好きなことも、改めてわかりました。
私の今の生活は、近所のおばさん業(子どもたちが時々遊びにきます)と、絵本作家という2足のわらじをはきながら(笑)、子どもや大人、いろんな人を楽しませられるような本づくりを目指していきたいと思います。
★こどものとも0.1.2. 創刊20周年記念ページはこちら
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にしむら あつこ
1972年東京生まれ。文化服装学院で洋裁を学ぶ。卒業後、絵本の制作を始める。作品に、『こんにちは みんな!』(「こどものとも年少版」2008年4月号・現在品切れ)『ゆうびんやさんのホネホネさん』『ゆきのひのホネホネさん』『はるかぜのホネホネさん』(以上福音館書店)、絵のみの作品として『ぐぎがさんとふへほさん』『コブタくんとコヤギさんのおはなし』(以上、福音館書店)『おともださにナリマ小』(フレーベル館)『トランプおじさんとペロンジのなぞ』(偕成社)などがある。東京都在住。 |

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月刊絵本「こどものとも0.1.2.」
20×19センチ/22ページ
年間購読料5,040円(12ヵ月)/毎月定価420円(税込)
「こどものとも0.1.2.」は、赤ちゃんとお母さんお父さんとの豊かなふれあいの時間を作る絵本です。親子の心のつながりと喜びが生まれる12冊をお届けします。
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『みっこちゃん』 「こどものとも0.1.2.」2016年3月号
にしむら あつこ
定価(本体389円+税)
子どもの一日を楽しくシンプルに描きます。一日の出来事がリズミカルな文章でくり返され、絵本のように口ずさんでみると、毎日がもっと楽しくなりそう! 模様付き色紙のコラージュがユニークな、ポップな絵本です。 |
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《2》「絵本に出会える場所」絵本美術館のご紹介
射水市大島絵本館(富山県) |
☆作家の創作の様子、作品の世界などをより深く楽しめる絵本美術館が全国にあります。
今月は富山県射水市の「射水市大島絵本館」に寄稿していただきました。 |
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射水市大島絵本館は、平成6年開館、年間約4万人の来館があります。テーマは、絵本を通しての〈夢創造〉です。館内はテーマにそって、「感じる」のライブラリー、ギャラリー、カフェギャラリー。 「つくる」のワークショップ、CGワークショップ。「伝える」のパフォーマンスホール、シアターなどのスペースがあります。
〈ライブラリー〉では、国内外の1万冊以上の絵本が、当館独自の分類法で14のコーナーに分けて配架されています。〈ギャラリー〉では、絵本原画を2ヵ月毎に入れ換えて展示。絵本原画を見ることのできるギャラリーとして、地域の方々に愛されています。〈カフェギャラリー〉では、富山県で活躍中の作家の作品(絵画や陶芸、手芸等)をご覧いただけます。〈ワークショップ〉では、簡単な絵本や季節のカードづくりなどが楽しめます。手づくりキットは、種類も豊富で人気。通信販売も行っています。〈CGワークショップ〉では、パソコンとお絵かきソフトでオリジナルグッズがつくれます。〈シアター〉には、約200席の客席があり、絵本DVDの上映をはじめ、絵本を題材にした演奏会、人形劇、講演会など様々なイベントを開催しています。〈パフォーマンスホール〉は、吹き抜けの開放的なホールで、作品展示、絵本のお話会、音楽会など様々な表現活動が楽しめます。当館では、絵本づくりの面白さを多くの人に楽しんでいただくために〈手づくり絵本コンクール〉を年間2回行っています。
また、幼稚園、保育所等の依頼に応じて、スタッフを派遣して読み聞かせや講演、絵本づくりワークショップの〈出前講座〉を行っています。当館の活動と絵本の楽しみ・理解を深めてもらうために、ホームページなどで情報発信を行っています。絵本原画展を開催中の絵本作家の紹介やイベントの情報を盛り込んだ『マグちゃん通信』を隔月で発行しています。ホームページからもご覧いただけます。射水市大島絵本館は様々な形で絵本に触れ合うことのできる、まったく新しいジャンルの施設です。ぜひご来館下さい。
射水市大島絵本館
富山県射水市鳥取50
TEL 0766-52-6780
休館日:月曜(祝日の場合翌日)、資料整理日(月1回)、年末年始12/28~1/4
開館時間:9時30分~17時30分
入館料 大人510円 中学・高校生310円 小学生100円
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《3》4月の新刊のご案内 |
《4月13日(水)販売開始》
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『路線バス しゅっぱつ!』
鎌田 歩 作
定価(本体1200円+税)
つばさくんは、友だちと路線バスにのって公園にいくことにしました。精密なイラストレーションで描く、はじめての路線バスの旅。 |
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《4月20日(水)販売開始》
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《4》『青函連絡船ものがたり』刊行! |
2016年3月26日、いよいよ北海道新幹線が開通します。1988年に青函トンネルが開通して鉄道がつながるまでは、青函連絡船が北海道と本州のあいだを行き来して、人や物を運んでいました。そんな青函連絡船の様子を描いた本『青函連絡船ものがたり』が発売中です。
青森に着いた列車から人々がおりて連絡船に乗り、函館で船を下りて町を見下ろすまでの船旅の様子を描きます。トンネル計画のきっかけともなった洞爺丸の事故など、80年にわたる連絡船の歴史も紹介。速さばかりではない土地と土地の密な関係があったことを、親しみやすい文章と温かい絵でたどります。
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『青函連絡船ものがたり』
宮脇俊三 文/黒岩保美 絵
定価(本体1300円+税)
本州と北海道とを結ぶ青函連絡船。1988年に廃止になるまでの、80年間の歴史をふりかえります。
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《5》編集部だより |
☆絵本・童話第一・童話第二・科学書の編集部から毎月交代で読者の皆様にむけたメッセージをお届けします。
絵本編集部から |
これまでオランダで出版されたディック・ブルーナさんの絵本は、全部で120冊超あります。そのうち弊社で翻訳出版しているのが約60冊。当面は、毎年2冊ずつ翻訳していく予定ですが、今回は車椅子の女の子のお話『ろってちゃん』と、13種類のスポーツを紹介する『すぽーつのほん』を刊行します。毎年、どの作品を翻訳するかは、担当者が中心になり、編集セクションで検討して決めるのですが、今回の『ろってちゃん』には、こんないきさつがありました。
昨年はじめ、ディック・ブルーナさんのイラストを使ったグッズなどの日本での販売を担っている、ディック・ブルーナ・ジャパン社から一本の電話がかかってきました。ぜひ会ってほしい人がいるというのです。お会いしたのは、ご自身、障がいのある子をもつ母親で"こころのボーダーをなくそう"という呼びかけのもと、様々な活動をしている女性と、それに賛同する子供服の会社社長でした。お二人がおっしゃるには、「ブルーナの絵本『ちいさなロッテ』(講談社、かどのえいこ訳、現在絶版)の主人公ロッテを、障がい者向けグッズのキャラクターとして展開しているが、おおもとの絵本が絶版なのは残念すぎるので、もう一度、手に入るようにしてもらえないだろうか」とのことでした。「出版はこころざし」とはよく言いますが、お二人の熱意に背中を押される形で、『ろってちゃん』(原書は『ちいさなロッテ』と同じ)の出版を決断しました。車椅子の女の子が、ボール遊びを通して友達と仲良くなるストーリーは、人間賛歌そのものです。ブルーナさんのヒューマニズムが、まつおかきょうこさんの新たな訳で、一人でも多くの方に伝われぁ
P4r$7$$$G$9!#
一方、『すぽーつのほん』に出てくる13種類のスポーツは、どれもがオリンピックに採用されている競技ばかり。今年はリオデジャネイロで夏季オリンピックが開催されますが、まさにグッドタイミングなのではないでしょうか。この絵本を見て育った子どもが、将来、オリンピックで大活躍するなんていうことがあるかもしれませんね。
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『すぽーつのほん』
ディック・ブルーナ 文・絵/まつおか きょうこ 訳
定価(本体700円+税)
サッカー、ホッケー、テニス、サイクリング、ランニング、水泳、乗馬、柔道、スケート、スキー、平行棒、鞍馬、跳馬、ブルーナが13種類のスポーツを紹介します。 |
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『ろってちゃん』
ディック・ブルーナ 文・絵/まつおか きょうこ 訳
定価(本体700円+税)
友達3人がボール遊びをしていると、車椅子に乗った女の子がやってきました。予想に反し、女の子はボール遊びがとっても上手。4人はすぐ仲良しになりました。
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《6》原画展・イベントのお知らせ
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●井上洋介 絵本の世界『くまの子ウーフ』もやってくる!
概要 |
『おだんごぱん』(こどものとも47号)や『くまの子ウーフ』をはじめ、初公開となる『ものうり草子』(2015年福音館書店)など絵本、童話の32タイトルにおよぶ原画約300点を展示し、絵本作家・井上洋介の魅力に迫る展覧会です。
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会期 |
1月23日(土)~ 3月21日(月・祝) |
会場 |
ふくやま美術館 |
問い合わせ先 |
TEL 084-932-2345
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関連作品 |
『おだんごぱん』(こどものとも47号) 『ものうり草子』など |
●「ひながたり ~ひな人形をかたる~」
概要 |
ひな人形をテーマにした石井桃子さんの代表作の一つ『三月 ひなのつき』をとおして、そこに描かれた、女性のひな人形への想いと荻窪にゆかりの深い石井桃子さんを紹介します。
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会期 |
2月20日(土)~ 3月27日(日) |
会場 |
杉並区立郷土博物館分館 西棟2階 |
問い合わせ先 |
TEL 03-5347-9801
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関連作品 |
『三月 ひなのつき』 |
●「ことばってたのしいな―木島始の詩と絵本」 展
概要 |
詩人・木島始(1928~2004年)の詩と絵本の世界を紹介する展覧会です。本展では、今年度練馬区に寄贈された木島始関係資料から、大人も子供も楽しめる詩と絵本の世界を取り上げます。詩人ならではの視点で輝く言葉の数々。絵本になったときの楽しさと面白さ。美術も愛した木島自身が描いた絵や原稿を含め、堅苦しい「展覧会」ではなく、「ことばってたのしいな」と遊んでいただきたい展覧会です。
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会期 |
2016年1月9日(土)~3月27日(日) |
会場 |
練馬区立石神井公園ふるさと文化館分室 展示室 |
問い合わせ先 |
TEL 03-5372-2572
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関連作品 |
『はなをくんくん』 『木』ほか |
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