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愛らしい生まれたての小犬を観察した写真絵本『こいぬがうまれるよ』

愛らしい生まれたての小犬を観察した写真絵本

『こいぬがうまれるよ』

生まれたばかりの小犬をみたことがありますか? 身近な動物ではありますが、犬を飼っている人でも、生まれたての小犬を見る機会は、なかなかないのではないでしょうか。

犬って、どんな風に生まれてくるの? どのくらいの大きさかな? 重さは?……。アメリカでもロングセラーの写真絵本『こいぬがうまれるよ』には、生まれてきた瞬間から、生後2ヶ月くらいまでの小犬の様子が写し出されています。

「おとなりの いぬに あかちゃんが うまれるの。いっぴき わたしが もらうんだ!」と、女の子はよろこびいっぱい。お母さん犬のぱんぱんにはったお腹を見て女の子は待ち遠しくてなりません。

やがて、お産の日が来ると、飼い主が作ったやわらかい寝床で、お母さん犬は小犬を産みます。やっと出てきた小犬は「ふくろ」に包まれていますが、お母さん犬が「ふくろ(羊膜)」を歯でやぶり、さらにへその緒をかみ切って、おっぱいを与えます。目も見えない、耳も聴こえないけれど、おっぱいの吸いかたをちゃんと知っている小犬の赤ちゃん。お母さん犬が小犬を慈しむ姿は感動的です。女の子は小犬のうち1匹を選び「ソーセージ」と名付けます。

2週間でやっと目があき、耳も聴こえるようになりますが、まだよろよろして歩けないソーセージ。おっぱいを飲んで寝てばかりの小犬を女の子は見守ります。1ヶ月たつとだいぶ足腰がしっかりして、はじめて一歩が出ました。歯も生えてきました。おっぱいだけでなく、少しずつお皿の食べ物を食べるようになりました……。少しずつ自立して、やんちゃをするようになる小犬の愛らしさも、この絵本の見どころです。


「ソーセージは ほんとに わたしのいぬ」……。女の子とソーセージと見つめ合う最後の場面では、人間と犬が心を通わせる瞬間が写し出されています。身近に心を通わせることができる生命があることの幸せを感じる場面です。生きものを飼うということは、その生命と向き合うことなのではないでしょうか。『こいぬがうまれるよ』を通して、生命を慈しむ気持ちを親子で感じてもらえればと思います。

2018.01.05

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