日々の絵本と読みもの

おきにいりの浴衣を身にまとって、いざ縁日へ『えんにち』

おきにいりの浴衣を身にまとって、いざ縁日へ

『えんにち』

夏は各地で、縁日やお祭りがおこなわれます。色とりどりの浴衣を身にまとって夕涼みがてら出かけられるのも、夏ならではのお楽しみです。そして、縁日やお祭りといえば、やっぱり屋台。たこ焼きやかき氷に舌鼓を打ったり、ヨーヨー釣りや射的にチャレンジしたり……。特別な日の特別なお楽しみです。今回は、そんな縁日の屋台の様子を存分に描いた絵本をご紹介します。

兄妹が神社の縁日に出かけます。神社の境内に行くと、ちょうど屋台の準備をしています。ふたりは屋台の組み立てを見物します。やがてたくさんの屋台が並びました。わた菓子、お好み焼き、かるめ焼き、金魚売りやサボテン売りもいます。夕暮れとともに人出が増して、大人も子どもも夢中になって夜店をのぞいてゆきます……。最初のページ以外は文字がなく、さまざまな屋台とそこに集う人々が、端正ながら素朴な温かみのある絵のみで表現されている絵本です。


この絵本が発表されたのは1973年。今から44年前です。かなり懐かしい風景のはずですが、たこ焼き、焼きそば、あんずあめの屋台などは、今も変わっていないように思います。一方、色つきのひよこを売る屋台が描かれていますが、このお店をご存じの方は、やや人生の経験を重ねられた方なのかもしれません。今は見ることがないようです。

この絵本は、根強い人気を誇りながらもしばらく出版されていませんでしたが、復刊を望む熱い声にお応えしてふたたび刊行いたしました。縁日に集う人々の息遣いが伝わる、懐かしくも色あせない魅力の絵本を、ぜひお楽しみください。

2017.08.04

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