日々の絵本と読みもの

拾ったどんぐりから出てきたのは……『どんぐりころころむし』

『どんぐりころころむし』

すっかり秋らしくなりました。樹々の葉も赤や黄に色づき、晴れた日はお散歩するのが楽しい季節です。
公園の小道や雑木林を歩いていると、ぽとん、ぽとん、と頭上から落ちてくるものが……そう、どんぐりです。よく見ると、足元にもいっぱい。落ちたばかりのどんぐりは、つるつるぴかぴかで魅惑的! ひとつ、ふたつと、拾わずにはいられません。ポケットいっぱいにどんぐりを拾って大満足するのは、子どもだけじゃなく、大人も一緒かもしれませんね。そんな秋の宝物、“どんぐり”をテーマにした絵本が、『どんぐりころころむし』です。

どんぐりをたくさん拾って帰った男の子。瓶のなかに入れておいたら、いつの間にかどんぐりに穴があき、虫が出てきました。虫は「むくむくもこもこ」と家の床を歩いていきます。そっとなでると、虫はどんぐりみたいにころころ転がって……。ぴかぴかのどんぐりと愛らしい“どんぐりころころむし”が、子どもたちを秋の林へと誘います。

持って帰ってきたどんぐりから虫が出てきた、と聞くと、ちょっとドキドキしてしまう人もいるかもしれません。なかには、実際にそんな体験をしたことがあったり、虫を発見してはいないけれど、どんぐりを入れておいた箱に黒いつぶつぶの粉があって、なんだろう? と思ったことがある方もいるかもしれませんね。
このどんぐりむし。知らないと、ちょっと驚いてしまいそうですが、よく見ると、ころころとしていて愛らしい生き物なんです。

そんなどんぐりむしと男の子との出会いをあたたかな言葉でお話にしてくれたのが、自然をテーマにした絵本を数多く出している、エッセイストの澤口たまみさん。そして、愛らしいどんぐりむしを描かれたのが画家のたしろちさとさんです。お二人は、『だんごむしの おうち』でもタッグを組まれています。
取材では、どんぐりむしがころころ転がりながらも懸命に歩みを進める姿に、お二人とも夢中。どんぐりむしを林に帰すときには、土のなかに少しずつ少しずつ潜っていく背中(?)に、みんなで「がんばれ」「がんばれ」と大きな声援を送ったそうです。

どんぐり拾いはそれだけでも心躍るものですが、そのなかにもうひとつ宝物が入っているかもしれないことを、子どもたちに感じてもらえたら嬉しいです。
秋のお散歩でどんぐりを拾う前に(もちろん拾った後にでも!)ぜひお楽しみください。

担当M
澤口たまみさんが、親子で絵本がもっと楽しくなるようにと書いてくださった、おおきなひとのための『どんぐりころころむし』。どんぐりむしとは? どうして虫が出てくるの? という疑問にこたえてくれます。虫たちのしかけを知ったら、きっと出会ってみたいと思うはず! あわせてお楽しみください。

2022.11.04

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