やこうれっしゃ
こどものとも|1980年3月号
寒い冬、お父さんとお母さん、男の子と赤ちゃんは、ターミナル駅から北に向かう夜行列車にのりこみます。列車が出発し、夜通し走り、朝到着するまでを、横長の画面いっぱいに、寝台車、普通車、グリーン車など各車両の中のさまざまな人々の様子とともに描いた、文字のない絵本。終着駅にはおじいさんとおばあさんが迎えにきていました。
- 読んであげるなら
5・6才から - 自分で読むなら
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※上記価格は当該号刊行当時の価格です。
こどものとも|1980年3月号
寒い冬、お父さんとお母さん、男の子と赤ちゃんは、ターミナル駅から北に向かう夜行列車にのりこみます。列車が出発し、夜通し走り、朝到着するまでを、横長の画面いっぱいに、寝台車、普通車、グリーン車など各車両の中のさまざまな人々の様子とともに描いた、文字のない絵本。終着駅にはおじいさんとおばあさんが迎えにきていました。
※上記価格は当該号刊行当時の価格です。
金沢行夜行列車“能登号” 西村繁男
この「やっこうれっしゃ」のモデルは急行能登号です。能登号は上野発金沢行の列車です。上野駅を21時49分に発車します。遅れないように少し余裕を持って駅に着きますと、上野駅は出かける人、着いた人で混雑しています。東北から到着した列車から人がどっと出てきました。東北のにおいがしています。井沢八郎の〽うえのわあ〰、おいらのお〰、こころおのええきいだあ〰、という歌がふと口から出てくる光景です。
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能登号は13番ホームから発車です。ホームに列車がはいってきました。実際の能登号の列車編成は、絵本の順序と異なっていて、後ろから、荷物車(スニ41)一両、A寝台(オロネ10)一両、B寝台(オハネフ12、スハネ16)五両、グリーン車(スロ62)一両、普通車(オハ47、スハフ42)五両、機関車EF58となっています。能登号を編成している車両は、今人気のブルートレインと比べると、確かに時代遅れです。昭和三十年代に登場して、もう二十年働き続けています。車内の壁についているプレートを見ると、改造を重ねながら時代の要請に応えてきたことがうかがえます。少々くたびれてはきたけれど、がんばって働いている姿は、定年が近づいてきた中年像を感じさせます。
ホームに列車が停止すると、最後尾にある荷物車には、長岡とか小千谷とか書かれたワゴンにのった新聞が手ぎわよく積みこまれていきます。自分の席に着いて一息いれていると、発車のベルが鳴り、列車は動きだしました。乗客は思い思いに、酒を飲んだり、本を読んだり、話をしたりしています。最初の停車駅大宮で少し人が乗り込んできました。ざわついていた車内も熊谷を過ぎるころには、落ち着いてきました。列車は揺れながら高崎線をとばします。
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A寝台は上下二段です。この車両の乗客は早々と自分の寝台にはいりカーテンをしめ、ひっそりとしています。話し声も聞こえません。空気バネ付きの台車がついているから、ほかの車両と比べて振動も少なく、スペースも広いので寝ごこちもいいのです。B寝台は上中下三段になっています。通路でひとしきりタバコをふかしたりしながら手持ちぶさたの時を過ごすと、各自自分の寝台につきます。グリーン車はリクライニングになっていて、座席を倒してくつろぎます。普通車には、話している人、寝ている人、様々な人間模様が見られます。寝相にしても、思い思いに工夫して寝ているのでいろいろです。すいているときは、二人掛けの座席に一人で寝ることができて、意外によく寝られます。混んでいるときは通路に寝る人もいます。時間がたつにつれて、通路や座席の下は食べたあとのゴミでいっぱいになっていきます。
高崎を過ぎると、列車は上越線にはいります。普通車を除いて、車内の照明が暗くなりました。ほとんどの人がもう列車のリズムにうとうとしはじめます。列車が駅に着くたびにリズムがとぎれてふと目が覚める、夜行列車特有の時間が続きます。水上(みなかみ)で峠越えの補機EF16が先頭につきます。新清水トンネルを抜けると雪国です。長岡で機関車はEF81に代わり、列車も前後が逆になり、信越本線を進みます。直江津からは北陸本線にはいります。
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5時過ぎ、車内放送が始まりました。乗客はほとんど起き出してきました。富山でたくさんの人が降ります。あと一時間ほどで6時51分、上野を出てから約九時間、終点金沢に着きます。
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