あめふり
こどものとも|1984年5月号
ずっと雨の日ばかり続くので、ばばばあちゃんは空に向かって、雨を降らすのを休んでほしいと叫びました。ところが雲の中からは「やなこった」という声がして、ますますひどく雨が降ってきます。ばばばあちゃんは怒り心頭、暖炉やストーブに胡椒と唐辛子をくべ、辛い辛い煙をだしました。すると雷たちはみんな「ハックショーン」。雲がちぎれて、雷たちは空から落ちてきます。
- 読んであげるなら
5・6才から - 自分で読むなら
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※上記価格は当該号刊行当時の価格です。
こどものとも|1984年5月号
ずっと雨の日ばかり続くので、ばばばあちゃんは空に向かって、雨を降らすのを休んでほしいと叫びました。ところが雲の中からは「やなこった」という声がして、ますますひどく雨が降ってきます。ばばばあちゃんは怒り心頭、暖炉やストーブに胡椒と唐辛子をくべ、辛い辛い煙をだしました。すると雷たちはみんな「ハックショーン」。雲がちぎれて、雷たちは空から落ちてきます。
※上記価格は当該号刊行当時の価格です。
雨の日のすごしかた さとう わきこ
雨が降るとよろこぶのは、カエルばかりかな。
いいえ、そんなことはありません。
傘をさして、雨の中にたって、くるくるまわすと、まわりに水玉のうずができます。
「雨だれの花火みたい」と思って見ていると目がまわります。
長ぐつをはいて、水たまりに“ビチャン”といきおいよくとびこむと緊張します。
泥水がはねをあげるから、スカートや長ぐつの中に、おさかながとびこんだみたいな気分になります。
風がピューッと吹くと、傘はカックンと泣いてひっくり返り、おちょこになります。
そこで、いそいで傘を反対むけにすると、もとの傘にもどります。
そんなことをくり返しているうちに、自分もびしょびしょ、傘もバラバラになってしまいます。
屋根から落ちる雨だれの下に、あきかんをおきます。
いろんな大きさのあきかんを、いくつもおくと、いろんな音がきこえ、音楽会みたいになります。
雨だれは、いちいち落ちはじめから落ちおわりまで見ていると、首のうんどうになるかわりに、目がつかれます。
くろ雲がでたときは、外へでないで、家の中から外を見ます。
くろ雲が、ピカピカ、ゴロゴロいいはじめると、胸がドキドキしてきます。
いなびかりが、空を上から下へギザギザ切ってはしると、なぜかワクワクして見ているのに、それが近くなって、ピカッと頭の上なんぞで光ると、思わず目をつぶり、耳をふさいで、部屋の真ん中にかけこみます。
だから、せっかく来たカミナリ様に、一度もお会いしたことはないのです。
そのくせ、音が遠くへいってしまうと、
「なんだ、もういっちゃって、つまんないの」
なんていって、名残おしそうに、いつまでも窓ガラスに鼻の頭をくっつけています。
そういっているうちにも晴れてきて、よく見ると、空に虹がでているのです。
もっとよく見ると、ちゃんと二重になっているのです。
むこうの山の森から、こっちの山の高圧線まで、きっちりきれいに虹がかかっていて、だれか森の中の人が、あめんぼうをのばすようにして、虹を作っているように思えます。
すると、いそいでその森までかけていきたくなります。
雨の降る日は、“天気になったら何をしようかな”などと考えます。天気の日には、“雨の日には何をしようかな”なんて考えもしないのに。
天気になると、雨の日に考えていた計画なんてすっかり忘れてしまって、思いつくまま散歩なんかをしてしまうので、雨の日に書いたメモなど、さいしょから、かみくずかごの中にはいって書けばいいくらいのものです。
雨の日のすごしかた、いろいろあるけれど、ばばばあちゃんみたいに、たまには空にどなってみたくなること、ありませんか。
「洗たく物が干せないじゃないの!!
庭いじりができないじゃないの!!
犬の散歩はどうするのよ!!」
だなんてね。
空にむかってどなったら、空から、なんていう声がかえってくるかな。
「けっこう楽しんでいるくせに!!」
なんていわれるかな。
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