福音館書店

とん ことり

こどものとも|1986年4月号

新しい家に引越してきたかなえが荷物の整理をしていると、“とん ことり”と音がして、郵便受けにスミレの花束が届いていました。ドアをあけても、だれもいません。次の日も同じようにタンポポの花束が、その次の日は手紙が入っていました。次に“とん ことり”と音がしたとき、かなえは玄関のドアを大急ぎであけました……。知らない町で友だちをつくるまでの、子どもの心が描かれます。

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「友達になりたい」 筒井頼子

 母は、子供達が友達を家に呼ぶのを好みませんでした。自分の五人の子供達の騒音だけで、沢山だったのでしょう。豊かではありませんでしたから、おやつの心配をするのが、きつかったのかもしれません。子供達が友達の家に呼ばれるのにも、いい顔をしませんでした。小さな義理も、必ず返さなければならないという、固い信念に凝り固まっていたからです。
 「友達がいなければ遊べないようでは、想像力のない証拠だ」 
 呪文のように繰り返されるこの言葉は、錆びついた錠になって、外に向かって開こうとする子供達の心を、閉ざしてしまうのでした。
 林の中に、ぽつんと一軒だけ建っている家に住んでいましたので、私はよくひとりで、林の中で遊びました。
 木や草や風の言葉を開くことができたのは、想像力のある子供だと思われたいばかりに、いつもじっと、あたりに耳をすませていたせいだったのでしょう。
 とりわけ、私がよく想像をめぐらして考えたのは、いつかできるに違いない、自分の友達についてでした。ひっそりとした林の中で、それは、あまやかな時間でした。
「友達になりたい」と声をかけられ、とっさに逃げだしてしまったのは、小学校六年生の時です。遠くから眺めている時、決してその女の子を嫌いではなかったはずなのに――。
 友達という言葉が私には重すぎて、耐えられなかったのです。
 しばらくうろうろと、視線を避けて暮らしました。やがてその子が連れ達を作り、私を見なくなった時、私はほっとして、空想の中で初めてその子と遊ぶことができました。
 友達になるきっかけを作るのは、子供にとっても、大人が考えているほどには、ラクではないのだという気がします。
 熱い想いをこめて、自分の友達を待っている子がいたら、その子の心に、この本が、とん、ことりと、届きますように。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
32ページ
サイズ
19×26cm
初版年月日
1986年04月01日
シリーズ
こどものとも
ISBN
テーマ

みんなの感想(1件)

月刊絵本で最初に出たときクラスのこどもたちと毎日読みました。子ども達は名前を付けたじぶんの月刊絵本をもらいます。それを、今日は○○さんの絵本を読みます、といって毎日読みます。ちょうど3月に転園していったともだちへの思いと重なって本当に毎日読み続けました。毎日読んでいるうちに、子ども達が絵の中にたくさんの発見をして私に教えてくれました。読んでいる私は文字ばかり追っていて気がつかなかったのですが、まさしく絵が語っていたのです。どうぞみなさんも探してみてください。楽しい発見がたくさんありますよ。「ともだちはいいです」こどもたちの心に残った忘れられない一冊です。

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