福音館書店

おおさむ こさむ

こどものとも|2001年1月号

キツネのきっことイタチのちいとにいは、おおばあちゃんに作ってもらったマントを着て、そりあそびに出かけました。すると岩かげから、かわいいゆきだるまがふたつ現れました。一緒にそりあそびをしていると、だんだん体が温かくなってきたので、みんなでかきごおりを食べていると、なぜかゆきだるまの体がどんどん大きくなっていくではありませんか……。キツネのきっこのお話の3作目。

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初めてのスキー 小出保子

ずっと昔、私の兄がスキー場で捻挫したときのことです。私は従姉と二人で救助というと大袈裟ですが、兄の荷物持ちに出かけたことがありました。その頃、従姉はスキーに熱中していましたから、気軽に案内役を引き受けてくれたのでした。東北本線から一両だけの汽車に乗り継ぎ、スキー場まで除雪された山道を、えっさかえっさか登っていきました。
「この辺は熊がでるのよ」という従姉の言葉に「熊は冬眠中じゃないの?」ぎょっとして私は言いました。従姉はニヤニヤしながら、「それでも猪は出るかもしれない。猪は足が速いから大木の上に逃げるよりないなあ」などと言い、挙句、木の根を猪の尻尾と見まちがえて二人共々スキー場の宿まで走りに走ったのでした。
宿屋の玄関の両側には小さいのや大きいのや七、八個の雪だるまが古いスキー帽子やバケツをかぶって出迎えてくれました。不思議にのんびりした所でお客は兄一人でした。
兄の捻挫は軽傷で、私と従姉は夕方までスキーを楽しむ余裕ができました。山スキ-の人達が途中の温泉宿に立ち寄る、そんな小さなスキー場でしたからゴンドラもリフトもありません。従姉はロープアップで上の方まで登り、ひらひら舞うように滑りおりてきます。スキーは初めての私は、登る、滑る、止まる、方向転換を教えてもらいました。黒いような青空の下、登っては滑り、登っては滑りを何回くりかえしたのでしょう。汗は拭いても拭いても噴き出します。帽子、ヤッケ、セーターをぬぐと気持ちのよい風が吹きぬけていきます。耳をすますと小鳥の鳴き声、木々を渡る風の音、雲の流れる音さえ聞こえそうです。さらさら私の顔や首のあたりから砂が流れていきます。何だろう? 舐めてみると塩っからいのです。汗が乾いて塩粒になったのでした。下まで滑れるようになった時には、すっかり日が暮れて、私たちは雪だるまに見送られ山をくだったのでした。
『おおさむこさむ』の絵を描くとき、この小さなスキー場のことを考えていました。きっこ達がそりすべりをするのにぴったりの所にぽっと灯火がともったようでわくわくしました。

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
32ページ
サイズ
26×19cm
初版年月日
2001年01月01日
シリーズ
こどものとも
ISBN
テーマ

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