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『どうすればいいのかな?』のうれしい現実 大友康夫
30年前のことです。
絵本を作りはじめて間もない僕は、依頼された『どうすればいいのかな?』のテキストを見て、思わず「これで絵本になるの?!」と叫んでしまいました。
「しゃつを はいたら どうなる?」ではじまるテキストは各場面一行、ドラマチックな展開があるわけでもなく、淡々と進むので、ひどくとまどってしまったのです。まさに、どうすればいいのかな? の思いでした。
ところがこの本が出版されると、国内だけでなく海外でも評判になり、14ヵ国語で翻訳出版されました。今では『どうすればいいのかな?』のくまくんの絵本シリーズはミリオンセラーです。
さて、『どうすればいいのかな?』のどこが子どもたちに受け入れられているのでしょうか。
まず、この絵本の読者である2、3歳児の日常が「教えを受ける」という立場であることを思ってください。一日のうちに一番たくさん言われることは「ああしなさい」「こうしなさい」ということでしょう。あるいは「してはいけません」かもしれません。
ところが、いつも教えられ指導される立場の子どもたちが、この絵本の前では一転、教える立場に立つのです。服をうまく着られないくまくんにシャツの着方、パンツのはき方を教えてあげるのです。
『どうすればいいのかな?』を読み聞かせると、子どもたちはくまくんに服の着方を教えてあげることに誇りを感じているように見受けられます。「ちがう、ちがう。シャツははくんじゃなくて、きるんだよ」と身振り手振りで教える子どもたちの活き活きとした表情をごらんになれば、幼い子どもたちにとって教えることがどんなに喜ばしいことなのかお分かりになるはずです。
くまくんはまた、パンツをかぶるという間違いをしでかします。子どもたちはあきれて苦笑しますが、気をとりなおして間違いを指摘し、正しいパンツのはき方を教えてあげます。
やがてくまくんは子どもたちに教えてもらったとおりにシャツを着て、パンツをはいて、ぼうしをかぶって、くつをはいて砂場へあそびに行きます。
子どもたちは自分が教えたとおりに行動するくまくんを見て、大満足でこの絵本を閉じます。ここでおわりにならないのが、すぐれた絵本のもつ力です。その場で「もう一回!」というアンコールの声がかかることでしょう。そして次の日もその次の日も何十回となくこの絵本を読み聞かせることになるでしょう。これが『どうすればいいのかな?』のうれしい現実です。
基本情報
- カテゴリ
- 月刊誌
- ページ数
- 24ページ
- サイズ
- 21×20cm
- 初版年月日
- 1977年04月01日
- シリーズ
- こどものとも年少版
- ISBN
- ー
- テーマ
- ー
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