福音館書店

こどものとも年少版9号

どうぶつのおかあさん

こどものとも年少版|1977年12月号

動物の母親は、どうやって自分の子どもを運んでゆくのでしょうか。子どもたちが好きな12種類の動物の母親が、子を連れ歩く様子をリアルに描いています。

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いろいろな運び方 小森厚

人は赤ん坊を、手で抱いて運びます。両手をあけておきたいときは、ひもを使って背中におぶったり、乳母車にのせたりします。人がこのようなことができるのは、二本の足で直立して、両手を自由に使い、道具も使えるように進化してきたためといえましょう。サルは、手を使うこともできますが、移動するときは、手・足四本とも体をささえるのに使ってしまうので、手で赤ん坊を抱いていることはできません。そこで、サルは、赤ん坊の方から、しっかり母親のおなかに抱きついて運ばれるのです。人の赤ん坊も、生まれて間もないころは、手でしがみつく力が強いのは、このような、サルの暮しのなごりといえます。サルも、赤ん坊が病気などで、しがみつく力がなくなると、母親が片手で赤ん坊を抱いて、三本足で歩くことがあります。また、チンパンジーの場合は、赤ん坊を、片手で抱いて歩くことが、よく見られます。もちろん、チンパンジーも、長く移動するときは、サルと同じように、赤ん坊の方から、母親にしがみついているのがふつうです。
サルは、木の上で暮し、赤ん坊のためのかくれがをもたないので、赤ん坊は、いつでも母親といっしょにいなければなりません。これが、ライオンや、イヌ、ネコのような肉食動物になると、かくれがに、赤ん坊を生みます。生まれた赤ん坊は、目も開いておらず、力も弱く、自由に動きまわることができません。ふだん、母親は、このような赤ん坊を、かくれがにおいたまま、えさをとりにでかけるので、赤ん坊を運ぶことはしません。しかし、なにかのつごうで、かくれがを、引越しするようなときには、赤ん坊を、口でくわえて運びます。首すじをくわえて運ぶときもあれば、頭を、すっぽり口の中にくわえこんで、運ぶこともあります。赤ん坊は、このような形で、くわえられたときは、おとなしく、じっとして、運ばれるのです。
草食動物の赤ん坊は、生まれてすぐに立ちあがり、敵にねらわれたときは、自分で走って逃げねばなりません。母親も、けんめいに走って逃げます。赤ん坊は、そのあとを、けんめいに追いかけて走ります。そのとき、目印になるのは、母親のしっぽです。シカの仲間は、白く目立つようにしっぽを立てて走り、イノシシも、やはりしっぽを目印に立てて走ります。
草食動物は、ふだん歩くときも、赤ん坊は、母親のそばについたり、あとについたりして、歩きます。ところが、ゾウやサイやカバのように巨大な草食動物になると、母親はうしろを見るのが、にがてなのでしょうか、赤ん坊を、自分の前において、そのうしろを、せきたてるように、母親がついて歩きます。
赤ん坊の運び方も、それぞれ、その動物の体と暮しに、にあった方法があるのです。

(1977年)

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
24ページ
サイズ
21×20cm
初版年月日
1977年12月01日
ISBN
テーマ

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