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動物園にて 中谷千代子
私は以前から、ちいさい子どもたちに、身近な犬やねこと、大きな象やくまなどの母子の絵本をつくりたいと思っていました。
ある日のことです。編集部の福井さんが絵本『ジオジオのかんむり』(福音館書店刊)を届けてくださいました。その時、福井さんは壁にかけてある私の描いた牛の油絵を見て「この牛いいですね」と言われました。私は牛をはじめ、動物たちの母子のテーマについてあれこれ考えていることを話しました。
福井さんは牛の絵に目をやりながら、
「おっぱい、おっぱいはどうです」
と言われました。
福井さんのアイデアを機に、私はさっそく動物園にきりんのあかちゃんや、やぎ、猿のあかちゃんをスケッチに行きました。たまたま春に北海道へ行ったので、登別のくま牧場へくまのあかちゃんも見に行きました。この絵本は、いろいろな動物のあかちゃんを描かなくてはなりません。
杉戸の動物園は、あかちゃんがそばで見られると聞いたので『かばくん』(福音館書店刊)の時、おせわになった西山園長さんをたずねてみました。「うさぎやモルモットのあかちゃんの乳飲むところは、なかなか見れないよ」と西山さんに言われ、がっかりしながら、うさぎ小屋へ行きました。小さな耳の小さなうさぎが、母うさぎのまわりをちょろちょろしています。私は、お乳を飲まないかなとじっと見ていました。飼育係の方が草を持って来てくれました。母うさぎが草を食べだすと、一匹の小さなうさぎは、母うさぎのおなかの下にもぐってお乳を飲みはじめました。他のうさぎも争ってお乳にとびついていきます。私は息をひそめながらスケッチしました。
それから飼育係の方にモルモットのいる薄暗いへやへ案内されました。箱を開けると、生まれたてのモルモットのあかちゃんが目をくりくりさせています。私は、しばらくじっと見ていました。あかちゃんが、二匹親のおなかに首をつっこんで、つつくようにお乳を飲みます。私は夢中になってスケッチしました。その時、だれかが私の肩をぽんとたたくので、思わずキャーと叫んでとびのきました。よく見ると、私のうしろにあるおりの中の猿のしわざでした。こうして私は、なかなか見る機会を持てない情景を、スケッチできて幸運でした。
基本情報
- カテゴリ
- 月刊誌
- ページ数
- 24ページ
- サイズ
- 21×20cm
- 初版年月日
- 1980年04月01日
- シリーズ
- こどものとも年少版
- ISBN
- ー
- テーマ
- ー
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