福音館書店

こどものとも年少版85号

いちご

こどものとも年少版|1984年4月号

畑で寒い冬を越し、初夏、緑の葉の陰に小さないちごの実がなりました。いちごの実が日に日に赤く色づき、甘いいちごになってゆく様子をていねいに描きます。

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いちご畑のコーラス 平山和子
 
 いちごをひとつぶ手にとって口に入れます。すると、よろこびが口の中にひろがるようです。何と良い香り、味、歯ざわりでしょう。
 いちごをひとつぶ手にとってながめてみます。何とうつくしい実でしょう。
 いちご畑で、赤いつぶを見つけた時、だれでも、思わず声をあげたくなるでしょう。こんなにみごとなものがなるなんて、考えてみると、不思議な自然のめぐみですね。わたしには、いちご自身も、このみのりをよろこんでいるように思われます。

 初夏の晴れた日です。
いちご畑にすわって耳をすますと、あちらこちらの株から、小さな声が聞こえてきます。
「おまちどおさま」
「よくできたでしょう。おかげさまでこんなにたくさんなりました」
「わたしの実をとってください」
「さあ、これをあなたにあげましょう」
「どうぞたべてください」
「ほら、ここにもまっかないちごがありますよ」
「さあどうぞ」
「さあどうぞ」
いちごたちは、待ちに待ったみのりの時をよろこんでいるのでした。それは楽しいコーラスのように聞こえます。
「いいお天気ですね」
「今日はうんと赤くなりますよ」
「それに甘くもね」
「これからつぎつぎにみのりますよ。まいにちとりにきてください」
わたしも声をかけたくなりました。
「秋に苗を植えてから、冬が過ぎ、春が過ぎて、やっとみのったいちごたち、かがやくようなまっかないちごを、ほんとうにどうもありがとう。わたしもよろこんで摘みましょう。いただきます」

 あなたがいちご畑にすわったら、どんな声が聞こえてくるでしょうか。
 いちごのひとつぶを手にした時、どんなことを感じるでしょう。

(1984年)

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
24ページ
サイズ
21×20cm
初版年月日
1984年04月01日
ISBN
テーマ

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