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絵本『くろねこかあさん』 東 君平
小さな生き物の命は、人間に比べれば短いものです。
たとえば、黒猫の母さんにしたって人間のように長生きは、できないはずです。
黒猫の母さんは、そんなこと、とっくのとうに知っています。
でも、その短い猫生(人生?)の中で、しなくてはならないことを、全部してゆきます。
たくさんの子猫を産みます。
そして、どの子も別け隔てなく愛します。
愛された子猫は元気に育ちます。
けれども、黒猫の母さんは愛情だけの子育てはしません。
厳しく躾るときにはタイミングよくしかることも忘れません。
黒猫の母さんは日常生活の中で、子猫の成長に合った学習をさせます。
つめとぎをしてみせるのも、そのためです。
雀をねらってみせたのも同じです。
子猫たちは、いずれ自分でも、そうしなくては生きてゆけない時がきます。
その時、今、母さんが、やってみせてくれたことが役に立ちます。
子猫たちが、冷たい池に落ちてみることができるのも、助け上げてくれる母さんがいるうちです。
黒猫の母さんは、そんなこと計算ずみで、いねむりをします。
やがて、黒猫の母さんは、子猫たちと別れる日がきます。
力を合わせて、大きな鯉をつかまえた日に、母さんも、子猫たちも、その時期が近いうちだということに気づきます。
黒猫の母さんは、又、いずれ子猫を産むかもしれません。
そして、ずっと前、別れていった子猫たちを育てたのと同じように、生まれた子どもたちを見守ります。
そんな日々の繰り返しで、黒猫の母さんも年をとってゆきます。
『くろねこかあさん』この絵本は長い時間をかけて考えました。
もし、仕上げるまでに一万時間かかったとすれば、そのうちの九千九百九十時間を頭の中で考える時間に使いました。
そんなに考えなくてもできそうですが、楽しくて楽しくて、絵本に仕上げてしまうことが、なんだかもったいない気がしたからです。
基本情報
- カテゴリ
- 月刊誌
- ページ数
- 24ページ
- サイズ
- 21×20cm
- 初版年月日
- 1985年02月01日
- シリーズ
- こどものとも年少版
- ISBN
- ー
- テーマ
- ー
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