福音館書店

こどものとも年少版95号

くろねこかあさん

こどものとも年少版|1985年2月号

6匹の子どもを育てる黒猫かあさんは大奮闘。その様子を白と黒の色の対比を生かした切り絵の手法で展開した絵本です。リズミカルな言葉がいっそう楽しさをふくらませてくれます。

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絵本『くろねこかあさん』 東 君平
 
 小さな生き物の命は、人間に比べれば短いものです。
 たとえば、黒猫の母さんにしたって人間のように長生きは、できないはずです。
 黒猫の母さんは、そんなこと、とっくのとうに知っています。
 でも、その短い猫生(人生?)の中で、しなくてはならないことを、全部してゆきます。
 たくさんの子猫を産みます。
 そして、どの子も別け隔てなく愛します。
 愛された子猫は元気に育ちます。
 けれども、黒猫の母さんは愛情だけの子育てはしません。
 厳しく躾るときにはタイミングよくしかることも忘れません。
 黒猫の母さんは日常生活の中で、子猫の成長に合った学習をさせます。
 つめとぎをしてみせるのも、そのためです。
 雀をねらってみせたのも同じです。
 子猫たちは、いずれ自分でも、そうしなくては生きてゆけない時がきます。
 その時、今、母さんが、やってみせてくれたことが役に立ちます。
 子猫たちが、冷たい池に落ちてみることができるのも、助け上げてくれる母さんがいるうちです。
 黒猫の母さんは、そんなこと計算ずみで、いねむりをします。
 やがて、黒猫の母さんは、子猫たちと別れる日がきます。
 力を合わせて、大きな鯉をつかまえた日に、母さんも、子猫たちも、その時期が近いうちだということに気づきます。
 黒猫の母さんは、又、いずれ子猫を産むかもしれません。
 そして、ずっと前、別れていった子猫たちを育てたのと同じように、生まれた子どもたちを見守ります。
 そんな日々の繰り返しで、黒猫の母さんも年をとってゆきます。
 『くろねこかあさん』この絵本は長い時間をかけて考えました。
 もし、仕上げるまでに一万時間かかったとすれば、そのうちの九千九百九十時間を頭の中で考える時間に使いました。
 そんなに考えなくてもできそうですが、楽しくて楽しくて、絵本に仕上げてしまうことが、なんだかもったいない気がしたからです。

(1985年)

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
24ページ
サイズ
21×20cm
初版年月日
1985年02月01日
ISBN
テーマ

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