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たべもの 中江俊夫
食いしん坊で、おいしいものがなんでも好きです。しかし、特別の料理とか、有難がってたべなきゃならぬ格式ばった料理とかは、嫌いです。
気どらずに、ぱくぱくたべられる、毎日毎日の、三度三度の、ありきたりなおいしい日本のたべものが大好きです。
たべものを、なんだかんだと厄介な能書きでたべたり、七面倒な料理法でたべるのは、あんまり好きではありません。ただひたすら、ごく普通のたべものをおいしいと思い、あきもしないでたべます。
たべものを残すのはケチだから嫌いです。余さないで、きれいにぺろりとたべてしまうのが好きです。
ありふれた、好きなたべものの名前をならべたら、なんだか暮らしの匂いがする詩になりました。ならべたことばの音のなかに、たべもののいのちがこもっているような詩が書けていたらと、ねがっているのですが。
作品を書いた際には気づかなかったのだけれど、ならべたたべものだけではなくて、それらのたべもので代表させてよいような、市民の日常の平凡な暮らしへのぼくのあこがれみたいなものも、作品にこもっているのではないかと、あとになって気がつきました。
さらに、亡くなった母親が作ってくれたあれこれを、これらのたべものから思い出しながら、自分の母親をしのぶみたいな気持ちも無意識にはあったのだなあと、これもあとになって気づいたりしました。
ぼくは太平洋戦争中に小学校の高学年を過ごし、敗戦の年は中学校の一年生でした。
つまり、もっとも食欲が盛んで体格が伸びる時期に、毎日のたべものがなくて、ひどい空腹感を抑えるのに苦労しました。たべものの有難さも知りました。
飢えをしたたかに知った動物的習性でしょうか、人と食事を共にする時も、ひとまず食べてしまってからでないと会話に加われない始末。
基本情報
- カテゴリ
- 月刊誌
- ページ数
- 24ページ
- サイズ
- 21×20cm
- 初版年月日
- 1985年12月01日
- シリーズ
- こどものとも年少版
- ISBN
- ー
- テーマ
- ー
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