こどものとも年少版132号

いろいろ しかく

こどものとも年少版|1988年3月号

大きいしかく、小さいしかく、横長しかく、縦長しかく、しかくを並べたしかく、しかくを並べたさんかく、いろんな色のしかく……。形と色のハーモニーが子どもの想像力をかき立てます。

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人間の知恵が考えた四角い形 中辻悦子

 日常生活の中で四角い形を見ていて、ふと気がついたことがあります。
 自然が作り出した形の中から四角い形を見つけることは、とてもむずかしいことだということです。道端にころがっている石ころにしても、木の葉っぱや空の雲、池や水たまり、山のかたち、野に咲く草花たちを見ても、角が直角になった四角い形はなかなか見つかりません。本やノート、写真やはがき、屋根の四角い瓦や窓わく、野原に立っている看板など、四角いものは、みんな人間が考え出した形ばかりです。どうして自然は四角い形を作らないのでしょう。
 その昔、人間がまだ自然に近い生活をしていたころは、住まいも山肌をくり抜いた自由な形のほら穴住居でした。道具なども自然の中から抽出された使いやすい形のものだったようです。文明が発達して人が増え、ものが多くなるにつれて、社会生活を合理化するための形が必要になってきたのではないでしょうか。きっちりする人のことを「四角四面な人だ」といいますが、四角い形は整理整頓に適した形だったようです。
 最近ではコンピューターに使われている映像表現の基本形も四角ではないかしらなどと考えながら、四角い形と色を、楽しさ、美しさ、意外性など、もっと人の心にふれるような伝え方ができればと思いたって創ってみたのが、『いろいろ しかく』です。
 色と形はそれぞれ独立して存在することはありません。大きい四角、小さい四角の組み合わせから、形の色とリズムを感じとっていただくことができるでしょう。
 無限の組み合わせで、いろいろな「もの」が想像できます。サイコロやビルの形などは、立体的な世界を想像させます。
 そんな四角い形も、コンピューターのようにプログラムをたくさんつめるためにだんだん小さくなっていくかもしれません。
 やがて四角は視覚から消えてしまうことになっても、四角い形は存在することでしょう。人間の細胞のように小さくなって、肉眼で見えなくなってしまった四角い形も、文明をささえるためには大切な形なのです。

 私達は、人間の知恵が考えた四角い形に、文化のいのちを与えて、想像豊かな感性を養っていきたいものですね。

(1988年)

基本情報

カテゴリ
月刊誌
ページ数
24ページ
サイズ
21×20cm
初版年月日
1988年03月01日
ISBN
テーマ

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