大きな働き者の車 こもりまこと
いよいよバルンくんのお話も4作目となりました。今回は、働き者の3兄弟が登場します。近頃いつの間にか、ビュンビュン走り回るダンプトラックや、黒い煙をはいて働く大きな車などが悪役にされ嫌われ者になっていますが、とんでもないことですよね。排気ガスには気をつけなければいけませんが、ダンプトラックなどは、僕らの知らないあちこちで、元気に働いて役に立っているのですから。
10数年前のある日、僕は仕事で土木作業を見学するため、広い造成地に立っていました。すると、はるか遠くの方から、砂ぼこりを巻き上げながら地面を削るモータースクレーパーが、時速約80キロでこちらに向かってきます。昔の蒸気機関車ほどの大きさと重さのある車ですから、目の前を通り過ぎるとき「これは車じゃない。家だあ! 家が走っているぅ!」と思いました。
そんな家みたいな巨大建設車を思い出して、建設機器3兄弟のお話を描こうと考えていました。そんなとき、ちょうど面白い場面を見ることができました。近所の建築資材を扱っている所で、ペイローダーの取材をしていたところ、ダンプトラックが現れ砂利を積み込み始めました。そこは狭い場所なので、ペイ(ペイローダー)が砂利をすくうためには、ダンプが4メートルほど前に移動しなければなりません。その空いた場所にペイが進み砂利をすくってバックすると、今度は空いた場所にダンプがバックしてペイのすぐ横に止まり、ペイはダンプの荷台にドサーッと砂利を落とし終えると「プッ」とホーンを鳴らすのです。その合図でダンプは再び前に移動し、場所が空いたらペイが前に進み砂利をすくってバックすると、元の場所にダンプがまたバックで戻ってきて、横で待っていたペイが砂利をドサーッと落として「プッ」と鳴らし、ダンプは前に移動…その繰り返し。そして、ダンプの荷台が砂利でいっぱいになったところでペイが「プップーッ」と2回鳴らすと、ダンプは「ブオーン」とこたえて目的地に向かって走って行ったのです。見事なコンビネーションで砂利を積み込む様は大変格好良かったのです。(今回のバルンくんはボーッと3兄弟の働きを見ているだけだったけれどスポーツカーのバルンくんはバルンくんのままでいいよ)。
(2004年)