おいしい絵本 和歌山静子
私は食べることが大好きです。そして料理をするのも大好きです。自分の料理がおいしいかどうかは分かりませんが、私はおいしいと思って、つい食べ過ぎてしまいます。なかでも根菜といわれる、土の中で育つ野菜が大好きです。
ある日、ごぼうのきんぴら(私のきんぴらは、ごぼうをできるだけ細い千切りにして、少しの油でさっと炒めて塩をちょっと振りかけただけのきわめてシンプルなものです)を食べながら、何でこんなにおいしいのかしらなどと考えているうちに、この本のアイデアが浮かんできました。
そしてすぐに、私の住んでいる逗子から電車で一時間あまりの二宮というところで野菜を作っている小澤さんをはじめ、原さん、松村さんの畑を何回もたずねて取材させていただきました。いろいろお話を聞いたり、写真をいっぱい撮ったりするなかで、いちばん感動したのは、手で土を掘り返して出てくる野菜の美しい色でした。にんじん、さつまいも、じゃがいもたち。さといもとごぼうは土の色でしたが、土の中からみんな実にいきいきとして出てきました。
そして取材が終わって本番の絵を描き始めると、取材する前に描いた絵とずいぶん違うなと気がつきました。やっぱり取材後の絵のほうが、いいのです。取材で見たり、聞いたり、参考資料を読んだりしたことは、私が絵本を描くときの大事な栄養素なんだなと気がつきました。
ところで、表紙のラディッシュは日本名をハツカダイコン(廿日大根)といいます。どんどこどんどこページをめくっていくと、最後はどんと大きな三浦大根で終わります。大根の英語の呼び名はジャパニーズ・ラディッシュです。図らずも大根で始まって大根で終わる絵本になりました。
最後に二宮の皆さんと、その方たちを紹介してくださり、一緒に畑を回ってくださった森田さんに心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。
(2008年)