あめのひの えんそうかい
こどものとも年中向き|2025年6月号
雨の日がつづき、退屈していたうたは庭へ出ます。転がっていたバケツをひろうと「ぽいん!」。バケツの底に雨粒が当たって音が鳴りました。隣に空き缶を並べると「ぽいん! カン!」。おなべを並べると「ぽいん! カン! チャッ!」。楽しい音が鳴り響きます。カエルやカメも仲間入りしてはじまるのは、雨の日の演奏会。声に出して楽しい、雨の日の物語です。
- 読んであげるなら
4才から - 自分で読むなら
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こどものとも年中向き|2025年6月号
雨の日がつづき、退屈していたうたは庭へ出ます。転がっていたバケツをひろうと「ぽいん!」。バケツの底に雨粒が当たって音が鳴りました。隣に空き缶を並べると「ぽいん! カン!」。おなべを並べると「ぽいん! カン! チャッ!」。楽しい音が鳴り響きます。カエルやカメも仲間入りしてはじまるのは、雨の日の演奏会。声に出して楽しい、雨の日の物語です。
雨の日の特別な遊び
かん かおる
誰にでも子どもの頃、ルールや名前のない自分だけの遊びがあったのではと思う。私には、雨の日にだけできる遊びがあった。雨が降ると古いベランダの屋根からまとまったしずくが落ちてきて、リズムを刻んでいた。その下に何か音が鳴りそうなものを置く。鍋やじょうろやバケツやら、もっとよく音が鳴るものはないかと目につくものを家中探しては、次々に雨に当てて音を試していく。夢中になると、散らかろうが、服が濡れようが、そんなことは全然関係ない。特別に音がよく鳴りそうなものを、しずくの当たるベランダにずらりと並べ、とんちんかんな音がそこらじゅうに鳴り響くのを楽しんで笑った。今作り出したこの空間は、雨が止めば終わってしまうのだ。この遊びは、今ふりかえると自然を全身で感じるクリエイティブな行為だったと思う。今でも、雨が降ると何かをひょいと置きたくなる。
ずっと、いつかこの楽しさを絵本にしたいと思っていた。絵本に表現するうえで難しかったのは雨の音で、「ぽいん、カン、チャッ」が出てくるまでアイデアを紙に書き出し、言葉の響きを何度も何度も口に出して確かめた。楽しい雨を表現するのに一番「これだ!」とくるものを見つけられたと思っている。
登場する動物たちは、自らの個性や特徴に合った楽しみ方で雨を感じている。彼らが笑顔で絵本の中で存在して欲しいと思い、愛情を注いで描いた。お話が進むにつれどんどん楽しくなっていく主人公の顔を描いていて、私も笑顔になった。こんどは、この絵本に出会う人々に楽しい気持ちが連鎖していきますように。
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