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978-4-8340--*

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母の友800号試し読み 柴田愛子さん

ゆるい未来

お母さんの負担

いやあ、時代は変わったなあ! と思うわよ。自分が生きている間にこんなに変わったかってね。昔のことを考えてみると、私の母は、あ、母は明治生まれなんだけどね、だから大昔の話よ(笑)、家の仕事をずっとしていたわね。

あるとき、それは私が遠足に行く前の晩だったんだけど、夜なべして何か作ってるのね。何してるのかなあ、と思いながら寝て、朝起きたら、私の新しいスカートが枕元に置いてあったの。うれしかったなあ。あの頃はまだ既製服が一般的じゃなくて、子どもの服は各家庭でお母さんが作っていたのね。

うちの父は勤め人だったけど、商店街の子たちのお父さんたちは自営業だから、自分の家で働いているでしょう。お母さんや、お父さんの「働く姿」が間近に見られたのね。すると、ああ、がんばってるなあ、かっこいいなあ、って、別に言葉で言われなくても、尊敬の気持ちが湧いてきたもんよ。

それから、どこにでも「子ども集団」があった。とりあえず家の外にいけば、だれか近所の子どもがいて、子どもは子どもだけで遊んでいた。だから、親は子どもを気にしなくてよかったし、子どもも親の目を気にしなくてよかった。それで伸び伸び遊ぶことができた。つまり、「子ども文化」があったのよ。自由に遊ぶことで子どもはいろいろな体験をし、失敗をして、それが豊かな学びになってゆく。今は少子化の時代で近所に大勢子どもがいる状況じゃないし、治安のこともあるから、昔のようにはできないわよね。だから、みんなで、今の社会でどうやったら子ども文化を守れるかを考えないといけない。そういう気持ちもあって、私は自分たちの園「りんごの木」では子どもの遊びたい気持ちを最優先させたいと思っています。

ただね、それを、お母さんひとりでやるとなったら、大変よ。今さ、教育熱心な人ほど、子どもに遊びが重要であるって思っているじゃない? だから我が子の遊びと安全を毎日毎日、一人で確保しなくちゃいけないい状況になってる。そりゃ苦しくなってくるわよ。家事は昔より減ったと思うけど、別の責任を背負わされているわよね。

続きは、「母の友」800号でお楽しみください。

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