日々の絵本と読みもの

加古里子さんの面影を宿した、「イノシシ先生」のおはなし集。『くもとり山のイノシシびょういん』

加古里子さんの面影を宿した、「イノシシ先生」のおはなし集。

『くもとり山のイノシシびょういん』


風邪をひいたりげがをしたりしたときに訪れる病院。子どもたちにとっては、ちょっと怖いイメージのある場所でしょうか。病気やけがを治したり、予防したりするための処置は、すこし痛かったり、怖かったりすることもありますよね。そんなときに、優しいお医者さんや看護師さんがいてくれると、気持ちもやわらぐかもしれません。本日ご紹介するのは、どんなときでも頼りになるお医者さん、「イノシシ先生」のおはなしを7つ集めた『くもとり山のイノシシびょういん』です。

山のふもとの小さな病院では、モジャモジャ髪の毛の「イノシシ先生」が、山のけものや鳥たちの診察をしています。その評判は、まわりの山々にまで伝わって、おなかが痛い子だぬきのポンちゃんから、けがをしたカブトムシのツノくんまで、次々にやってくる患者たちに、病院は大忙し! イノシシ先生は、うさぎの看護師さんやブタの若先生と一緒に、患者たちひとりひとりにぴったりの治療をしていきます。

この作品を生み出したのは、「だるまちゃん」シリーズの加古里子さん。月刊誌「母の友」に掲載された7つのおはなしをまとめ、加古さんの実孫・中島加名さんの絵を加えて単行本化しました。イノシシ先生と動物たちとの微笑ましいやりとりや、楽しい挿絵はもちろん、思わず加古さんを重ねてしまうような、イノシシ先生のおおらかで優しい雰囲気が、大きな魅力の1冊です。

▼刊行記念エッセイ
なかじまかめいさん|「描きかえてくれて大いに結構」



担当・T
もういい大人なのに、未だに注射針が腕に刺さっているところを見ることができません。

2021.01.28

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