日々の絵本と読みもの

あったかいうどんとお稲荷様のひみつ『うどんやのたあちゃん』

『うどんやのたあちゃん』

たあちゃんのうちは、商店街でうどん屋をしています。お昼どきにはたくさんのお客が入って、お店はいつも大繁盛です。
ある日、幼稚園から帰ってきたたあちゃんが、大きな油揚げののったきつねうどんを食べようとすると、突然、見慣れない男の子「こんた」が現れました。こんたは、たあちゃんちのうどんを食べさせてくれと頼みます。うどんを食べて満足したこんたは、たあちゃんを自分の家に招待するのですが、そこは商店街のすみっこにある、お稲荷様の祠(ほこら)のなかでした。

作者の鍋田敬子さんは、香川県高松市のご出身で、子どものころ、ご実家はうどん屋を営まれていたそうです。このお話の主人公、たあちゃんは、まさに小さかったころの鍋田さんそのもの。物語に登場するお稲荷様の祠は、瓦町駅にほど近い常盤町商店街を見守る常磐稲荷神社がモデルになっています。

威勢のよかったお父さん、明るくて働き者だったお母さん。冬の寒い日に、帰ってくると鰹節のにおいとあたたかい湯気に包まれてほっとしたこと。作者の子ども時代の幸福な記憶が凝縮されています。おかしみのあるお話の展開とともに、うどん屋をはじめとしたリアリティのある商店街の様子も魅力的です。

また、登場人物たちが話す土地ことばが生き生きとしているので、読み手も聞き手もお話のなかに一層引き込まれていきます。そして、こんたがお父さんとうたって、しまいには、たあちゃんも真似してうたう歌がなんとも楽しいのです。

こいこいこいこい えーびすさん
でろでろでろでろ ふくのかみ
かないあんぜん しょうばいはんじょう
すってんてーんの すっとこどっこい

声に出して読むと、自然に調子よくうたうように口ずさめるので、お子さんと一緒に読んでみてはいかがでしょう。寒い冬がやってきましたが、あたたかで不思議な世界へと誘うファンタジー作品をぜひお楽しみください。

担当M
わが子が小さかったときによくこの絵本を読みました。たあちゃんたち3人がうたう歌を声を合わせてうたったのがいい思い出です。

2022.12.09

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