日々の絵本と読みもの

赤ちゃんも一緒にお月見を『おつきさま こんばんは』

『おつきさま こんばんは』

秋の夜長、丸くなったお月さまにお供え物をしてお月見をする日「中秋の名月」。
月が美しく輝く日に、月の絵本を読んであげてはいかがでしょうか。

『はじめてのおつかい』『こんとあき』の作者・林明子さんが描いた赤ちゃん絵本『おつきさま こんばんは』は、ことばのリズムを楽しめるようになった赤ちゃんへ、物語絵本の入口として読み聞かせるのにぴったりの作品です。

夜になって空が暗くなると、2匹のネコがいる家の屋根の上が明るくなります。
丸いかたちがだんだんとあがってきて、姿を見せたのはお月さまです。

「おつきさま こんばんは」

ほっぺのぷっくりとしたお月さまが、こちらを見つめています。

すると、雲がやってきて、お月さまを隠してしまいます。

「くもさん どいて おつきさまの おかおが みえない」
「ごめん ごめん おはなし してたんだ では さようなら また こんど」

お月さまのじゃまをしたいわけではない雲。
そこで雲が前を横切ると、お月さまの顔がふたたび見えるようになりました。
お月さまは嬉しそうに笑っています。

「まんまる おつきさま こんばんは こんばんは」

お月さまや、雲とお話をするように描かれた本作では、シンプルながらドラマチックにお話が展開されます。
赤ちゃんを「少しバッと驚かせたくて……」と語っていた作者の林明子さん。
林さんのねらい通り、赤ちゃんが心から楽しめる要素が詰まっています。

うれしいこと、悲しいこと、やさしいお月さまの表情や、屋根にいるネコのシルエットの変化など、いろいろなことを絵本からリズミカルに感じとり、体と心いっぱいで物語を楽しむことができることでしょう。

そして、裏表紙に描かれているお月さまがユニークな表情をしているので、そちらにもぜひ注目してみてくださいね。
今年の「中秋の名月」では、作品に出てくるお月さまのような、きれいな月が見られるといいですね。

担当・H
『おつきさま こんばんは』のボードブック版が、ボードブック版「くつくつあるけのほんセット(4冊)」の1冊として、2021年10月4日に限定出版されます! 出産のお祝いなど、プレゼントにもおすすめです。

2020.10.01

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